[本文]

国・地域名:
EU
元記事の言語:
英語
公開機関:
欧州研究会議(ERC)
元記事公開日:
2017/09/06
抄訳記事公開日:
2017/12/26

欧州全域のトップクラス研究者406名に総額6億500万ユーロの支援

ERC Starting Grants: €605 million to 406 top researchers across Europe

本文:

欧州研究会議(ERC)の2017年9月6日付標記報道発表の概要は以下のとおり。

欧州研究会議(ERC)はこのほど、ERC若手研究者助成金制度(Starting Grants)により欧州全域の若手研究者406名に対して助成を実施する旨発表した。このファンディングは総額6億500万ユーロに相当し、助成金1件当たり最大150万ユーロである。同助成金を通じて、研究者は独自の研究チームを立ち上げて画期的なアイデアを追究することができる。助成対象者のうちの女性の割合は、ERCのこれまでのコンペティションにおいて今回が最高(約40%)で、また国籍でもより多様になっている。

今回の助成対象者は、慢性感染症または喘息に関する医療研究から、災害管理、ネットワーク・セキュリティ、気候変動に至るまで広範囲のテーマについて研究する。ファンディングの対象となる研究はあらゆる学問分野を網羅し、物理科学・工学、ライフサイエンス、人文社会科学などを含む。ERCによる助成は、EUの研究・イノベーションのための枠組みプログラムであるHorizon 2020の卓越した科学(excellent science)の柱の下で行われている。

助成対象プロジェクトのホスト国は欧州全域の23か国で、英国(79件)、ドイツ(67件)、フランス(53件)が上位を占める。今年のコンペティションでは、助成対象研究者の国籍は48か国に及び、ERCの創設以来最高の数字になった。助成対象研究者45名が非欧州国籍であるが、その多くは米国人の17名などすでに欧州に基盤を置いている。今回は18名の研究者がERC支援のプロジェクトを遂行するため欧州へ移住する。その中には帰還する欧州人が13名いる。今回の募集でERCは3,085件の応募提案を受け、その約13%が採択された。

なお、採択されたプロジェクト(研究者)の代表的な例が次のサイトに示されているので、その概要を以下に記す。
https://erc.europa.eu/news/erc-2017-starting-grants-highlighted-projects

・慢性肺疾患薬剤の投与標的の特定
(スウェーデン、カロリンスカ研究所)Erik Melén氏、(助成金):5年間で150万ユーロ

・緊急事態対応にビッグデータの活用
(英国、リーズ大学)Nicolas Malleson氏、(助成金):5年間で140万ユーロ

・長寿命移植を目的とする高密度完全ダイヤモンドによる大脳皮質インプラント(NEURODIAM)
(フランス、パリ大学(東)等)Lionel Rousseau氏、(助成金):5年間で140万ユーロ

・メディアにおける互いに異なる見解の影響
(オランダ、アムステルダム大学)Magdalena Wojcieszak氏、(助成金):5年間で140万ユーロ

・睡眠中の細菌を覚醒させることによる慢性感染症の撲滅
(イタリア、ミラノ大学)Sara Sattin氏、(助成金):5年間で150万ユーロ

・一時雇用の社会・経済的効果
(ドイツ、バンベルグ大学)Michael Gebel氏、(助成金):5年間で140万ユーロ

・ガス検知用の小型センサー技術
(ノルウェー、UiT)Jana Jágerská氏、(助成金):5年間で150万ユーロ

・デジタル社会をより安全にする適正化ネットワーク
(ルーマニア、ブカレスト・ポリテクニカ大学)Costin Raiciu氏、(助成金):5年間で130万ユーロ

[DW編集局]