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- 国・地域名:
- 中国
- 元記事の言語:
- 中国語
- 公開機関:
- 新華通信社
- 元記事公開日:
- 2017/11/30
- 抄訳記事公開日:
- 2018/01/19
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中国、ダークマターの関係性が高い現象を発見
- 本文:
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中国科学院(CAS)は11月30日、ダックマター観測衛星「悟空」が電子宇宙線のエネルギースペクトルで異常な変動を観測したと発表した。そして、この成果は同30日付の科学誌「ネイチャー」オンライン版に掲載されたと、新華通信社が伝えた。本記事でその概要をまとめる。
「悟空」の首席研究者でCAS紫金山天文台副台長常進氏によると、普段滑らかな曲線で示される電子宇宙線のスペクトルに、「悟空」が捉えたデータに基づき、1.4兆テラ電子ボルト(TeV)の超高エネルギースペクトル域に激しい変動が起こり、「ピーク」を形成したことが観測された。この域に新しい物理現象の存在が示唆されるという。
この発見について、「現有の観測データと理論モデルでは、ダークマターとの関連性を断定できるまでには至らないが、近年来、研究者らが尽力するダークマターの探索に最も近づく重要な発見である」と常氏が語った。また、CASの白春礼院長はこれに対し、「この発見は、後続の研究においてダークマターとの関わりが実証されれば、画期的な科学成果として認められることになろう。仮に関わりがない場合でも、現在の科学理論を発展させることが期待できる」とコメントした。
「悟空」とは、CAS実施の宇宙科学戦略的イニシアティブプログラムの初の観測衛星として、CAS傘下複数の機関が共同で開発し、2015年末に打ち上げられた。「高エネルギー電子、ガンマ線に対するエネルギー測定の正確度」と「異種粒子の区別能力」という2つのコア技術分野において、米国のGLASTやAMS、日本のCALET等先端な宇宙線検出装置より先を行くという。
[JST北京事務所]