[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
国家科学技術会議(NSTC)
元記事公開日:
2017/12/22
抄訳記事公開日:
2018/02/15

医療画像処理の研究開発に関するロードマップ

ROADMAP FOR MEDICAL IMAGING RESEARCH AND DEVELOPMENT

本文:

2017年12月22日付で国家科学技術会議(NSTC)科学委員会は「医療画像処理に関する省庁間作業グループ(IWGMI)」による標記報告書を公表した。報告の概要は以下のとおりである。

医療画像処理は多くの患者治療の進め方の指針となるもので、生物医学研究における必要不可欠な要素である。X線や超音波からコンピュータ断層撮影(CT)、機能的磁気共鳴画像法(fMRI)、陽電子放出断層撮影法(PET)に至るまで、医療画像処理はガン、心臓血管系疾患、神経変性疾患など一定範囲の疾患や病状の臨床医による診断、処置、理解に役立つ。

連邦政府は医療画像処理の研究に投資して、画像処理技術の開発・展開に重要な役割を果たしている。IWGMIは連邦政府のこのような投資を統括しており、今後の医療画像処理に関する研究開発に向けた標記ロードマップを作成した。

IWGMIでは、医療画像処理を通じてより優れた健康成果・より賢明な医療費用支出を達成するための取り組みに向けた包括的テーマとして、「高価値画像処理の推進」を特定している。医療画像処理により患者にとってより優れた価値を生み出し、医療の効果を最適化してコストの削減も図る目的で、連邦政府の今後の研究開発業務の指針とすべき次の4つの目標を特定している。また各目標ごとに具体的な提言が示されている。

1) 画像の取得・保管の標準化を図ること
(提言)
・臨床画像データの収集、注釈付け、保存に関する標準の採用を展開・推進する。
・複数の診断事例から得られた臨床データを結合、保存、配布する官・民の取り組みを統括する。
・臨床画像データの検証・品質保証を行うインフラを確立する。

2) 医療画像処理に先進の計算・機械学習を応用すること
(提言)
・医療画像処理での応用に焦点を絞った人工知能の研究開発を支援する。
・人工知能と医療画像処理の各コミュニティにおける取り組みと関心を調整する官・民フォーラムを設立する。
・画像データと他の電子メディアデータ集合とを統合する臨床・研究双方のツールとして、診断コックピットの開発を支援する。

3) 新たな高価値画像処理技術の開発・移転を促進すること
(提言)
・より迅速でコスト効果の良い診断を目指す。
・高価値画像処理技術をより利用し易くする。
・各々の役割、実証ベースの研究、治験実施計画、高価値技術の臨床への移転について、連邦政府、大学、臨床医、産業界の関係者間の対話増進のため、定期的に支援活動を実施する。

4) 医療画像処理におけるベスト・プラクティスを推進すること
(提言)
・革新的技術の効率的な活用を目指して、知識、能力、運用スキルの普及を支援する方式を策定する。
・開業医集団による広範な取り組みの推進に、コスト効果の良い公認のツールを採用する。
・学生が医療の研究・実践に備えられるように、教育機関向けに教育のベスト・トレーニング プラクティスや優先順位を確立する。

[DW編集局+JSTワシントン事務所]