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- 国・地域名:
- 中国
- 元記事の言語:
- 中国語
- 公開機関:
- 中国科学報
- 元記事公開日:
- 2018/01/11
- 抄訳記事公開日:
- 2018/04/06
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中国と欧州による宇宙協力事業における新たな成果
- 本文:
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2018年1月11日付の「中国科学報」ネット版は、「中国と欧州による宇宙協力事業における新たな成果−地球観測用の先進搭載技術の開発に成功」と報じた。本記事ではその概要をまとめる。
1月11日に中国と欧州による対地同期軌道衛星のミリ波大気観測用サウンダーのプロトタイプが中国科学院国家空間科学センターと欧州宇宙局により開発された。今回の協力はミリ波大気観測検知技術の新システムに焦点を当ててあり、地球観測分野において両者にとって初めての実質的な協力となる。
中国科学院国家空間科学センターの吴季研究員によると、今回の観測技術は、台風や異常対流などの異常気象をリアルタイムで3次元観測ができる。このような観測技術は国際的に既存の気象衛星でもまだ運用されておらず、宇宙大国を進んでいくという戦略の推進においても重要である。両機関の協力により、空間分解能という既存技術のボトルネックを合成開口レーダー技術により解決した。10年以上の研究を経て、両機関はフルスケールの地上型プロトタイプと実験を進めてきた。
今回開発されたプロトタイプは、大気温度検知と大気湿度検知の2つから構成されている。中国側は大気温度検知を担当し、中国科学技術部による863計画や中国科学院による重点方向性プロジェクトの支援で中国科学院国家空間科学センターが研究を進め、欧州側は大気湿度検知を担当し、欧州宇宙局技術研究センターの支援の下、スウェーデンのOmnisys会社が研究を進めた。
試験の結果、両者のプロトタイプの空間分解能は要求目標を超えた。地球同歩軌道高度の3万6千キロメートルからの観測では、地上部の空間分解が50キロを超え、台風などの異常気象をリアルタイムかつ連続的に3次元観測できた。これらにより、気象予報能力の向上が大いに期待できる。
欧州宇宙局・国際関係部門のKarl Bergqvist氏によると、中国と欧州による気象観測などの静止軌道衛星のミリ波大気観測用サウンダープロトタイプ開発プロジェクトの成功は、中国と欧州の宇宙技術の戦略的協力におけるひとつの重要な部分をなす。
中国と欧州は1990年代に中国で最初の宇宙科学衛星「双星」の開発プログラムで協力するなど、これまでも長い協力がある。2015年には共同プロジェクトとして、太陽風ー磁気圏総合作用パノラマイメージング衛星計画(SMILE) を通じて、地球観測技術領域の共同開発を進めている。中国と欧州による次世代の国際気象衛星の開発において、今回の3次元ミリ波検知能力を有する対地同期軌道衛星の開発は、強固な技術基盤を形成したことになる。
[JST北京事務所]