[本文]

国・地域名:
ドイツ
元記事の言語:
ドイツ語
公開機関:
フラウンホーファー協会 システム・イノベーション研究所(ISI)
元記事公開日:
2018/03/12
抄訳記事公開日:
2018/05/07

2030年まで再生可能エネルギーの割合を35%に引き上げることは可能

Bis 2030 sind deutlich mehr Erneuerbare Energien möglich

本文:

フラウンホーファーISI(Systems and Innovation Research)の欧州議会に向けた再生可能エネルギーに関する報告書が発表され、これに関してISIは概略下記のような報道発表を行った。

欧州議会に宛てたISIの報告書がこのほど発表され、総エネルギー消費に対する再生可能エネルギーの割合を35%まで引き上げることは現実的である、と結論している。

EUは2030年までに再生可能エネルギーの割合を27%にしようと努力している。2016年における割合は、昨年出されたレポートThe State of Renewable Energies in Europe – Edition 2017によると、約17%であった。

ISIはEnerdataおよびSQ Consultと共に総エネルギー消費に占める再生可能エネルギーがより高くなった場合、それが経済や社会にどのような影響を与えるかについて調査し、報告書Renewable Energy Directive Targetをとりまとめた。

計算の最重要指標は、技術コスト、燃料コスト、資本コストである。
・技術コストに関して、再生可能エネルギー技術のコストは現在は数年前より低くなっていることを確認。このことから風力エネルギーを初めとする再生可能エネルギーは将来のエネルギー体系において重要な役割を果たす、と結論づけている。技術コストが低くなれば一般に普及は速く、広範になるからである。
・化石燃料価格が低下すると再生可能エネルギーの割合は低くなる。燃料価格が高くなれば、再生可能エネルギーの割合が高くなる。現在のところ燃料価格の上下動が激しく、この点に関する予測は大きな不確実性を伴う。
・資本に関しては発電コスト、またそれに伴い投資の選択にも影響する。ディスカウント・レートが高いと、通常ガス火力発電所のように初期投資が低い設備での投資が有利になる。レートが低い場合、オペレーティング・コストのウエートがより大きくなり、太陽や風力エネルギー設備のようにオペレーティング・コストの低い設備が有利となる。

全てのファクターを評価した後、2030年における総エネルギー消費に対する再生可能エネルギーの割合を30から35%にすることが経済的に実現可能である、との結論に達した。GDP、雇用、健康への影響は総合的にみて低く概ね有益であり、また燃料輸入および温室ガス排出に関してもプラスの効果が期待できる、としている。

再生可能エネルギー割合を30から35%にした場合、電力部門における再生可能エネルギーの割合は50%以上に上昇する。こうした再生可能エネルギーの割合増を電力システムに統合していくためには、需要と供給両面に十分なフレキシビリティが必要である。The State of Renewable Energies in Europe – Edition 2017による分析では、電力部門における再生可能エネルギー割合は今のところ30%弱で、現在のシステムのフレキシビリティは十分である、としている。

[DW編集局]