[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
米国科学振興協会(AAAS)
元記事公開日:
2018/04/04
抄訳記事公開日:
2018/05/18

NISTの2018年度予算:製造業支援予算と研究所予算は据え置き

NIST in the FY 2018 Omnibus: Manufacturing and Labs Funding Safeguarded

本文:

4月4日付の米国科学振興協会(AAAS)による標記記事の概要は、以下のとおりである。

昨年発表された2018会計年度大統領予算教書によれば、予算審議開始時点におけるトランプ政権の国立標準技術研究所(NIST)予算に対する考えは、近年大きく伸びてきたNISTの研究予算を削り、加えてNISTの製造業支援プログラムに対して思い切った予算削減を求めるというものであった。

しかし、本年3月に成立した2018会計年度予算をみると、議会は政権の要求を拒否し、NIST予算の大部分を回復したのみならず、予算審議の過程で裁量的経費上限枠が大幅に引き上げられた結果、最終のオムニバス歳出法案でのNIST予算の伸びは連邦政府省庁の中で最大となった。

NISTの予算総額は前年度予算に比べて2億4,700万ドル、26%増加した。ただし、この予算増の大部分は研究施設の建設に振り向けられることになっている。NIST研究所の研究予算の伸びは控えめなものであり、また、NISTの産業技術支援(Industrial Technology Services)プログラム(訳注)の予算は前年度と同程度にとどまった。

NIST予算増の主な要因は、次のとおりである。
・ NISTの7つの研究所に配分される科学技術研究支援(Scientific and Technical Research and Services (STRS))予算は、対前年度比で3,500万ドル、5%伸びた。
・ 上院が求めた国家サイバーセキュリティ卓越センター(National Cybersecurity Center of Excellence)拡大のための資金3,300万ドルが予算に計上された。
・ 政権から廃止が求められていた製造拡大パートナーシップ(Manufacturing Extension Partnership)プログラムは廃止されなかっただけでなく、前年度予算1億3千万ドルに対してさらに1千万ドルの予算が追加された。
・ NISTの研究施設建設予算は急激に増加(前年度に対して2億1千万ドルの増加)し、総額3億1,900万ドルに達した。

他方、予算が削られたプログラムとしては米国製造業(Manufacturing USA)プログラムがある。このプログラムは米国製造業の国際競争力向上に官民が共同で取り組む研究機関を支援するものであるが、その予算は対前年度比で1千万ドル、40%削られた。

また、より長期的な視点からみると、NISTのSTRS予算は2010会計年度から2018会計年度までの間に物価調整後の数値で1億3,200万ドル、23%伸びたことになる。他方、同じ期間中のNISTの製造業支援プログラムを含む産業技術支援予算は停滞していた。

(訳注)NISTの産業技術支援プログラムは、企業の技術開発等を支援することによって米国産業の国際競争力の向上を図ろうとするものである。その中には、上記の製造拡大パートナーシッププログラムおよび米国製造業プログラムが含まれる。

[DW編集局+JSTワシントン事務所]