[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
全米科学・工学・医学アカデミー(NASEM)
元記事公開日:
2018/03/27
抄訳記事公開日:
2018/05/21

メタン排出量のより正確な推定のための全米規模での取り組みを提言

New Report Recommends a Nationwide Effort to Better Estimate Methane Emissions

本文:

3月27日付の全米科学・工学・医学アカデミー(NASEM)による標記発表の概要は以下のとおりである。

人間活動によって生じるメタン排出量の測定、モニタリング、インベントリー(排出目録)の改善に向けて米国は大胆な施策をとるべきである、とNASEMによる最新の報告書は述べている。大気汚染の原因となり公衆や労働者の安全を脅かす温室効果ガスであるメタンに関して、より適切なデータを有することが、気候、経済、ヒトの健康に関する判断を行う際の助けとなる。

人為的メタン排出源はエネルギー、農業、廃棄物処理など経済の多様な分野にまたがる。気候変動以外にも、メタン排出を測定、モニター、追跡すべきさまざまな理由がある。

一般的に、メタン排出量を見積もる方法は2つある。トップダウン方式では、大気中のメタン濃度の観測、および発生源から観測地点までの移動をシミュレートしたモデルを用いて、排出量を予測する。ボトムアップ方式では、天然ガス田や畜産農場など個別のメタン排出源の範囲での排出量測定を行い、その結果を地域規模・全国規模での排出量推定に用いる。この2つの方法で算出された排出予測は大きく相違する場合があり、排出源を見落としているか、大気のサンプリングに問題がある可能性がある。この食い違いを解消するため、報告書では両方式の正確性向上のための国レベルの研究強化の取り組みを提言している。

現状では「温室効果ガスインベントリー(GHGI)」が米国における排出に関する主要情報源で、全米規模で毎年排出量の報告をしている。GHGIを補完するものとして、米国は、より詳細な空間的(体積・距離など)および経時的(時間など)スケールでのデータを示すグリッド型のインベントリーを確立して維持する必要があると、上記報告書は述べている。

[DW編集局+JSTワシントン事務所]