[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
全米科学・工学・医学アカデミー(NASEM)
元記事公開日:
2018/04/12
抄訳記事公開日:
2018/05/29

NASEMが生物医学・行動学の若手研究者のキャリア支援の改革を提言

Report Recommends Reforms to Support Careers of YoungBiomedical and Behavioral Scientists, Proposes Solutions to Barriers ThatHave Slowed Change So Far

本文:

4月12日付けの全米科学・工学・医学アカデミー(NASEM)による標記記事の概要は以下のとおりである。

NASEMは、その新しい報告書において、次世代若手研究者のために米国の生物医学研究システムを強化すべく、一連の抜本的改革を求めている。連邦議会の要請に基づく同報告書には、科学者が健康・厚生の増進と疾病の新規で革新的な治療を実現できるように、若手科学者に対してアカデミア内外でのキャリアパスを開くこと、将来の研究エコシステムのために官民利害関係者の責任範囲を拡大すること、そして、その研究エコシステム下での政策実験と投資を増加させること、といった勧告が含まれている。同報告書はまた、過去の生物医学研究エコシステム改革における障壁を特定し、それを克服する手段を提案している。

同報告書では、生物医学・行動学研究者の大学内外のキャリアパスに関するデータの収集・利用を推奨している。また、議会に対し、生物医学研究企業を集団的および持続的に管理し促進していくための官民パートナーシップの設立、および若手研究者をしっかりと支援するために国立衛生研究所(NIH)の予算を増やすことの検討を求めている。

さらに、大学や研究機関でより多くの研究者の雇用を創出することを推奨している。ここで推奨する雇用とは、教員職以外の終身雇用で合理的な給与と福利厚生を提供するものであり、今日の任期付きで低給与のポスドク・フェローシップではない新たなキャリアパスを提供するものである。なお、本政策の影響評価のための予備研究を実施した後、NIHはポスドク研究者に対して、NIH研究助成金の受給期間の上限を段階的に設定する必要がある。

同報告書は、米国の生物医療関連企業が、若手研究者の参入障壁を生むような形で硬直化しているという長年にわたる警鐘に呼応している。最大の課題の1つは、学術研究者になる資格と意欲がある若手研究者の増加に対して、利用可能なテニュアトラック研究ポジションが限られていることにある。多くの博士号取得者は、低給与で、不十分なトレーニングしか受けられず、独立研究の機会が乏しいポストドクターの職に長い期間を費やしている。独立研究者になるためのNIH研究助成金を獲得する研究者の平均年齢は、1980年には36歳であったが、2016年には43歳となっている。

[DW編集局+JSTワシントン事務所]