[本文]

国・地域名:
中国
元記事の言語:
中国語
公開機関:
網易ウェブサイト
元記事公開日:
2018/05/10
抄訳記事公開日:
2018/06/18

浙江大学・元副学長の褚健氏が出所後、国のトップレベル研究に復帰

浙大原副校长褚健出狱后,重返重要学术岗位

本文:

2018年5月10日付の網易ウェブサイトは、「浙江大学・元副学長の褚健氏が出所後、国のトップレベル研究に復帰」と報じた。本記事ではその概要をまとめる。
公開資料によると、浙江大学・元副学長、SUPCON(中控)グループ創始者である褚健氏は、国家重点研究開発計画「サイバー・セキュリティー」重点特定プロジェクト(産業コントロールシステムと安全保全に関する技術)の資金助成を受託した。助成プロジェクトの中央財政経費は2,758万元(1元は約17.50円)で、プロジェクトの実施期間は3年間である。
2013年11月15日に、褚健氏は逮捕され、2017年1月、汚職等で有罪判決となり、有期懲役とされた。2018年1月19日、満期釈放の翌日に褚健氏は、自身が創立した浙江浙大海納SUPCON(中控)自動化有限公司に復帰した。その際SUPCON(中控)グループの公式サイトは褚健氏の「SUPCON(中控)への復帰に関する公表」を発表し、「これまでに、三年間半は自身の人生の中で一番大変な境遇を耐えた。今後は私はいかなる苦難及び劣悪な条件にも負けない。私は職場に復帰し、皆様と苦楽を共にして更に偉大なSUPCON(中控)を構築できるように努力する」と述べた。
2010年、「スタクスネット」(Stuxnet, Microsoft Windowsで動作するコンピュータワーム )がイランブーシェルの核施設を攻撃し、イランの原子力施設における2000台以上のウラン濃縮遠心分離機がStuxnetの侵入を受けて稼動停止に陥った。これらの遠心分離機は、シ—メンスDCSシステム(PCS-7)を採用し、国家、軍隊の情報化システムを国外の設備に依存する危険性を実証した。
当時、褚健氏はこの事件にショックを受けて、その他のSUPCON(中控)のトップと異なった意見をとり、短期間で利益が上がらないにも関わらず、継続して巨額の資金自社の産業制御システムを投入し、重大なブレクスルーを遂げた。
褚健氏は、「SUPCON(中控)が従事することが国家の産業安全に関係する。2010年、Stuxnetがイランの核施設を破壊し、2000台以上のウラン濃縮遠心分離機が稼動停止に陥ったことは、影響が非常に大きい。Stuxnetが実際に操作するのはシ—メンスの制御システムPCS-7である。実証によると、このシステムは攻撃に耐えられない」と述べ、「自動制御は、国家の全ての重要な基礎施設、重要な産業ひいては重要な設備に関わっている。制御システムがなければ、全てのモノを操作・制御することができない。我々のコミットメントは、できるだけ中国の企業に自主開発したものを使用させる」と表明した。

 

※褚健プロフィール
1978年10月―1982年7月 浙江大学化工系(学部)工業自動化専業 学士学位
1982年9月―1984年11月 浙江大学化工系(学部)工業自動化専業 修士学位
1984年11月―1986年9月 浙江大学化工系(学部)工業自動化専業
1986年10月―1989年1月 京都大学化工生産プロセス・計測専業 博士学位、京都大学の初期博士共同育成課程、浙江大学化工系(学部)工業自動化専業中日共同育成課程の第一人者
1989年3月―1991年3月 元浙江大学化工系(学部)自動コントロール学科ポストドクター研究
1991年3月 浙江大学制御科学ポストドクターステーション
1991年3月 浙江大学制御系(学部)教職 そのうち、1992年4月に工業自動化部国家工程研究センター(国内大学初の工程センター)副主任を担任、1993年12月に教授に昇進、1994年10月に博士・指導教官を担任、1999年4月に「長江学者奨励計画」の初期の特別招聘教授となった。
1993年、浙江大学工業自動化国家工程研究センターはSUPCON(中控)の前身である浙江大学工業自動化公司を創設し、褚健氏は創設者の一人である
1999年11月、浙江大学先進コントロール研究所(現・浙江大学知能システム・制御研究所)所長
1999年12月、工業・制御技術国家重点実験室主任を担任
2005年2月、浙江大学党委常委、副校長
浙江省第11回党代会代表、第10回全国人大代表
受賞等:
2012年度国家科学技術進歩二等賞、2009年度国家技術発明賞二等賞、2006年度第6回光華工程科学技術賞青年賞、2002年度教育部指名国家科学技術一等賞、2000年度国家科学技術進歩二等賞、1999年度教育部科学技術進歩三等賞、1998年度教育部科学技術進歩二等賞、1997年度国家科学技術進歩三等賞
学術研究:
褚健氏は1989年に帰国してからずっと自動制御理論先端学科の研究に従事し、国内外の重要な学術ジャーナルに210編余りの論文を発表し、三部の専著と編著を出版した。
褚健氏は、プロジェクト責任者として国家自然科学基金プロジェクト4件、国家「九五」重点科学技術難題プロジェクト3,400万元、国家「十五」重点科学技術難題プロジェクト3件(6件の分担課題と16の特定分担課題を含む)、国家教育委員会(教育部の前身)優秀若手教師基金3件、国家教育委員会「世紀を跨る優秀青年人材」特定プロジェクト基金1件、霍英東若手教師基金2件等の国・省部委による32件の研究課題を受託し、1997年に国家傑出青年基金を獲得し、2004年に国家自然科学基金委員会革新研究グループ基金を獲得した。
褚健教授の特筆すべき点は、理論と実践の相互結合を堅持し、現在の国際自動化分野での先端技術に焦点を当て、大量の若手研究者を組織して科学技術の難題解決に取り組み、理論的な成果を生産力に転化し、産学研の相互結合による新たな道を探求している点である。

[JST北京事務所]