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国・地域名:
英国
元記事の言語:
英語
公開機関:
ビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)
元記事公開日:
2018/02/22
抄訳記事公開日:
2018/06/21

ギマー大学・科学・研究・イノベーション担当大臣が科学技術特別委員会で講演

Science Minister speaks at Science and Technology Select Committee Summit

本文:

ビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)の2018年2月22日付標記発表によると、サム・ギマー(Sam Gyimah)大学・科学・研究・イノベーション担当大臣はこのほど英国議会の科学技術委員会の科学・イノベーションの将来に関するイベントに出席し、主として科学・イノベーションにおける国際的対処方について講演したところ、発言概略は以下のとおり。

クリーン成長や人口の高齢化から未来の交通やAI・ロボット技術の進化に至るまで今後直面することになる課題は、研究・イノベーションの共同取り組みによってのみ解決できる。これら課題はグローバルな課題であり、グローバル市場で実行する必要がある。また、変化を先取りしようとするなら今投資する必要があり、世界全体が明日に求める商品やサービスを提供できるように備える必要がある。

研究開発を政府の産業戦略の中心に位置づけるのはそのためであり、2027年までに対GDP比の2.4%を研究(開発)に費やし、公的研究・開発ファンディングを過去40年間で最大に増額して取り組む。

英国はこれまでずっと国際的な科学大国であった。しかしイノベーションはそれだけで生じるものではなく、アイデアは天から落ちてくるものではない。最も優れたアイデアは、最も優れた知性を持つ人達が安定した長期的枠組の中で共同で協力できる場合に生まれる。長年に亘りこれまで多数のノーベル科学賞が、複数の国で展開される国際的なチームやアイデアに授与されてきた。

英国は他の大国に比べて研究開発の国際的流動性比率が高く、英国の研究開発投資の17%が外国の資金支援に拠っている。したがって英国がEUの研究基金の支援を受けて、欧州近隣諸国との密接な関係を一部展開してきたことは驚くべきことではない。また欧州研究会議(ERC)の助成ファンディングの約20%を英国が受けているのも不思議なことではない。現行のフレームワークプログラムHorizon 2020の開始(2014年1月)から2017年9月までに、英国の創造力に富む大学が25億ユーロ強のファンディングを獲得している。

2017年12月にEUと英国の折衝チームが発表した共同報告書(https://ec.europa.eu/commission/sites/beta-political/files/joint_report.pdf)に明示されているように、英国に本拠を置く組織や人はHorizon 2020の公募に応募可能で、2019年~2020年のコンソーシアムを主導したり参加することができる。共同報告書ではまた、英国の事業体がEUのプログラムに参加する権利は英国のEU離脱に影響されないと述べている。同報告書はさらに、大学のスタッフ・学生等の、現在英国に合法的に滞在するEU市民は、英国のEU離脱に際し国外退去を要求されることはないと述べている。つまり当面の2年半は現在の取り決めに何らの変更もない。

当然のことながらEU離脱決定の有無にかかわらず、EUの現行の研究プログラムは2020年には終了する。欧州市民そして世界市民として我々が直面するグローバルな課題への対処を可能にするべく、英国が主要な科学、研究、技術のイニシアチブに関して欧州のパートナーとの協力を継続する協定を歓迎する旨、首相も私(ギマー大臣)も明らかにしている。英国はこれまで常に研究の国際性を強く信じてきたし、EUおよび世界中の国がグローバルな課題で協力していくことを引き続き推進する。

2017年9月に英国は米国と政府間の科学・イノベーション協定を締結する最初の国になった。同様の協定はカナダとも締結しているし、中国とは共同の「科学・イノベーション戦略」を展開している。米国との科学・イノベーション協定により、長基線ニュートリノ装置(LBNF: Long Baseline Neutrino Facility)や地下深部ニュートリノ実験(DUNE: Deep Underground Neutrino Experiment)に6,500万ポンドを投資する。

[DW編集局]