[本文]

国・地域名:
中国
元記事の言語:
中国語
公開機関:
中国科学報
元記事公開日:
2018/05/03
抄訳記事公開日:
2018/06/22

中国科学院、中国初のクラウドAIチップを発表

中科院推出中国首款云端智能芯片

本文:

2018年5月3日付の「中国科学報」ネット版は、「中国科学院、中国初のクラウドAIチップを発表」と報じた。本記事ではその概要をまとめる。

5月3日、中国科学院コンピューティング技術研究所傘下のAIチップ設計の会社である寒武紀科技(英語名Cambriconで、現在はユニコーン企業に成長)は、上海で発表会を開催し、中国初のクラウドAIチップ及び最新の端末用AIプロセッサーを公表した。新製品の開発に成功し、寒武紀科技は、同時に端末用とクラウド用AIプロセッサー製品ラインナップを両方持つ会社のひとつとなる。

このクラウドAIチップは負荷分散モデル(Load Balancing Model)と高性能モデル(High Performance Model)の条件で作業したところ、負荷分散モデルの等値理論上のピーク時処理スピードは固定小数点演算で毎秒128京回、高性能モデルの等値理論上のピーク時処理速度は固定小数点演算で毎秒166.4京回に達したが、マザーボードのエネルギー消費量は80Wのみで、ピーク時でも110Wを超えない。寒武紀科技のCEOである陳天石氏の紹介によると、同クラウドAIチップは寒武紀製品が有する一貫した普遍性を継承しており、各種ディープラーニング(深層学習)と機械学習アルゴリズムをサポートし、視覚・音声・自然言語処理、典型的なデータ発掘などの分野で必要とされる複雑なシーン(高容量、マルチタスク、多モード、低遅延、ハイスループットなど)におけるクラウド・スマート処理の需要を十分に満たしている。同クラウドAIチップは各種の複雑なクラウド・スマート任務を独立的に実行・完成でき、一連の端末用プロセッサーにも適応できる。端末とクラウド上でのエコシステムにより、複雑でスマートな任務を実行することができる。

同発表会では、寒武紀科技の第3世代端末用AIプロセッサーを発表し、演算で5京回/Wに達し、様々な応用シーンでのスマート処理の需要を満たす。世界で第一陣のローカル・トレーニングをサポートする製品として、視覚・音声・自然言語処理及び各種の機械学習に高効率のコンピューティング・プラットフォームを提供し、スマートフォン、スマートスピーカー、スマートwebカメラ、自動運転などの分野での幅広い応用が期待される。

中国科学院科学コミュニケーション局の周徳進局長は、「寒武紀科技は成立して僅か2年間で絶えず画期的なAIチップ製品を発表し、端末からクラウドまでの実験室の研究成果を迅速に製品へ転化している。中国科学院コンピューティング技術研究所、寒武紀科技はAIチップの基礎研究分野においてトップレベルを維持し、産業分野への開拓、自主イノベーション分野における牽引を継続し、国際パートナーと共同で人工知能分野のエコシステムを作り上げ、より多くの研究成果を市場・国家・世界に奉仕していくことが期待される」と述べた。

陳天石氏は、「寒武紀科技創設の初心は、全世界にAIプロッセサーが用いられることである。寒武紀科技は学術界の開放・協力精神を受け継いで、全世界の同業者とともに最新の技術成果を共有し、全世界のAI、集積回路分野の同業者と手を携え、『チップ』から人類社会の人工知能時代を構築するように努力したい」と表明した。

寒武紀科技のAIチップの他には、アリババ逹磨院はニューラルネットワーク向けチップ「Ali-NPU」を開発中であり、百度(バイドゥ:中国で最大の検索エンジンを提供する企業)が支援しているHorizon Roboticsもスマート運転・カメラ向けのAIチップを発表したり、DeePhi Techもディープニューラルネットワーク用のチップを開発中など政府がAIチップの開発を強く進めている。

[JST北京事務所]