[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
国立標準技術研究所(NIST)
元記事公開日:
2018/05/15
抄訳記事公開日:
2018/07/17

NISTが連邦資金受給研究者のためにバイ・ドール法関連規制を効率化

NIST Streamlines Bayh-Dole Regulations for Federal Funding Recipients

本文:

5月15日付の国立標準技術研究所(NIST)による標記報道発表の概要は、以下のとおりである。

連邦政府による研究開発資金の受給者(企業、大学、連邦研究機関および非営利団体を含む)に課せられた規制負担を軽減するための規則改正が商務省(DOC)傘下の国立標準技術研究所(NIST)によって公布され、5月14日発効した。

今回改正された規則は、バイ・ドール法(訳注1)の施行と連邦政府資金による発明の権利に関係するものである。

DOC標準・技術担当次官(Under Secretary of Commerce for Standards and Technology)(兼)NIST所長であるWalter G. Copanは、次のように語った。
・我々は、政府を挙げて連邦政府からの技術移転の促進に取り組んでいる。このような状況の中で、今回の規則改正は21世紀におけるバイ・ドール法の一層の活用に貢献するだろう。
・バイ・ドール法は、米国におけるイノベーション促進の鍵となるものである。
・今回の規則改正は、規則を現在の特許法に適合させ、革新的な技術を市場に投入する我々の能力を高め、それにより雇用の創造と米国企業の国際競争力向上に資するものである。

今回の規則改正は、このほど発表された大統領マネジメントアジェンダ(President’s Management Agenda)(訳注2)に示された「研究室から市場へ」(Lab-to-Market)に関する省庁横断的優先課題およびIT最新化(IT Modernization)の目標に沿うものである。

今回の規則改正には、次のような事項が含まれている。
・いくつかの定義を明確にする。
・規則履行に伴う負担を軽減する。
・連邦資金受給者と政府機関の共同発明に配慮する。
・電子的報告プロセスを簡素化する。
・共同研究開発契約(Cooperative Research and Development Agreement (CRADA))(訳注3)の下で開発された連邦政府所有の発明について、契約当事者である企業、大学等が実施許諾の申請をするときに当該CRADAを使えるようにする。

NIST技術パートナーシップ室(Technology Partnerships Office)の室長であり、国家科学技術会議(NSTC)の「研究室から市場へ」分科会の共同議長であるPaul Zielinskiは、次のように語った。
・CRADAと実施許諾に関する手続きの簡素化は、企業側の時間と経費負担を節減するだろう。
・いくつかの手続きに伴う時間的要素を変えることで、連邦資金による発明を特許化し、その技術を企業が投資と成長のために活用することができるようになるだろう。

今回の規則改正は、本年5月14日以降に締結される全ての連邦政府機関との新規資金配分契約に適用されるが、既存の契約も資金配分機関の判断で新規則に基づく修正をすることができる。

(訳注1)バイ・ドール法: 米国連邦政府資金による研究開発成果の活用を促進するため、連邦政府から供与された資金により発明をした大学等の機関が特許を取得できるようにする法律。1980年に成立した。
(訳注2)大統領マネジメントアジェンダ: 米国連邦政府をより効率的・効果的な組織とするための政府の取り組みを示すホワイトハウスの公式文書。最新のものは本年3月に発表された。
(訳注3)共同研究開発契約(CRADA): 米国連邦政府の研究機関と民間企業等との間の共同研究開発を進めるための制度。

[DW編集局+JSTワシントン事務所]