[本文]

国名:
米国
公開機関:
下院科学・宇宙・技術委員会
元記事公開日:
2018/07/26
抄訳記事公開日:
2018/09/20
元記事の言語:
英語

米国は量子コンピューティングにおいて中国、EUに勝利せねばならない

U.S. must win the race against China and Europe on quantum computing

本文:

7月26日付、下院科学・宇宙・技術委員会の標記記事の概要は次のとおりである。

過去何十年もの間、米国は先端技術分野における優位性により国家の経済と安全保障を推進してきた。今や米国は量子科学に基づく次なる技術的ブレークスルーを起こすべく中国とヨーロッパと競争しており、この競争に米国は必ず勝たねばならない。

米国は国家量子イニシアチブ法2018の導入により官民による量子科学の研究開発を推進している。過去の宇宙開発や核エネルギー開発でも見られたように、量子コンピューティングの開発競争は米国にとって経済面、安全保障面で重大な意義がある。量子物理の極めて小さな世界、つまり原子、陽子、電子、光子の世界は、我々の未来にとって途方もない大きな可能性を秘めている。

量子科学は量子物理の繊細な側面を探求し利用するもので、素粒子は多数の可能な状態に同時に存在することができると考えられている。これは「量子重ね合わせ」として知られている。例えば、従来のコンピューティングはプロセッサーチップの中で一連のとても小さい電子的なオンオフ・スイッチを使っているが、技術の進歩により、この一連のオンオフ動作を驚くほど速く実行するスーパーコンピュータが実現した。しかし、従来のコンピューティング技術は限界に近づいている。

ところが、量子コンピューティングはオンオフ・スイッチを極度に速く動作させるのではなく、「量子ビット(QBIT)」という素粒子でオンオフを同時に行うことが出来る。このような特性やその他の量子現象により、量子コンピュータは複雑な計算を現在の最高速のスーパーコンピュータよりも何百万倍も速く処理できる。

完全に機能する量子コンピュータを作るには10年あるいはそれ以上かかるかもしれないが、この技術が新たな産業や雇用を生み出すのはもうすぐである。量子コンピューティングはデータの安全性や電子通信、正確な長期気象予測、創薬や新素材の開発を可能にする。この技術の応用により、通信の安全性、ナビゲーション、イメージング、その他の従来のハードウエアではなし得なかった技術が可能となる。

このように将来有望な技術であるが、量子技術の開発競争に負けると国家の安全保障への厳しい影響を意味する。

量子通信技術を最初に獲得した国は、他の国の暗号化された最も重要な国家安全保障に関わる情報を一瞬のうちに解読でき、また、機密技術や個人情報すらも入手できるであろう。

議会証言で専門家は、世界中の国がそれぞれの量子プログラムを急速に推し進めつつあり、米国が遅れを取る現実的な脅威に直面していると警告している。中国とEUは何十億ドルもの資金を量子関連の新しい研究施設や設備に投入している。特に中国は次の10年間で米国を追い抜くと公に発表している。それ故、米国は国家量子戦略を策定し、この技術開発競争で優位を保たなければならない。

米国量子イニシアチブ法は米国における量子開発と技術の応用を推進するための10年間のプログラムを創設して課題の解決を図るものである。この法案は、米国の産学官の専門家や資源を結集して、量子情報科学を次の研究開発レベルへ進めることを目的に作成されている。この法案はまた複数の省庁における基礎研究、教育、標準開発を支援する。まずは国家量子技術調整オフィス(National Quantum Coordination Office)が設立され、ホワイトハウスの科学技術政策局が省庁間量子情報科学部会を取りまとめる。

[DW編集局+JSTワシントン事務所]