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- 国・地域名:
- フランス
- 元記事の言語:
- フランス語
- 公開機関:
- 高等教育・研究・イノベーション省(MESRI)
- 元記事公開日:
- 2018/07/17
- 抄訳記事公開日:
- 2018/09/20
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フランスにおける高等教育・研究の現状(2018年7月版)
L'état de l'Enseignement supérieur et de la Recherche en France (n°11 - Juillet 2018)
- 本文:
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7月17日付高等教育・研究・イノベーション省(MESRI)の標記発表から、特に研究・イノベーションに関する部分を抜粋・要約して以下に記す。
・フランスの研究開発業務
2005年から2015年の間に、国内研究開発支出(DIRD)は、国内総生産(GDP)の伸びの2倍の速さで、年間2.2%の伸びを示した。この活力は、企業(年平均2.4%増)によるものであり、政府によるDIRDは、年平均1.7%の伸びであった。2015年のDIRDはGDPの2.27%を占め、498億ユーロであった。企業は国内で実施される研究開発業務の64%を実行している。・フランスのイノベーション企業
フランスに拠点を置き10人以上の従業員を擁する民間企業のうち、半数弱が2012年から2014年の間にイノベーティブな製品またはサービス等で実績をあげている。情報・通信業界が最もイノベーション色の強い業界である(71%の会社がイノベーションを実行している)。・国内研究開発支出
2015年には、6つの研究分野(自動車、航空宇宙、医薬品、専門科学技術活動、コンピュータと情報サービス、化学)が企業の国内研究開発支出の半分を占めた。公共セクターでは研究機関(EPST、 EPIC)が政府の国内研究開発支出の54%を占めている。・公的研究機関の研究開発業務の資金支援
2015年に公的研究機関による研究開発予算額は約133億ユーロで、政府の研究開発業務全体の65%の資金を支援している。自己収入は70億ユーロで、公的セクターの資金調達の35%を占めている。・中小企業、中堅企業、大企業における研究開発
2015年に中小企業(零細企業を含む)は、企業の国内研究開発支出(DIRDE)の17%を実施している。その支出の半分以上をサービス業務に充てている。DIRDEの58%を占める大企業は、高度技術及び中高度技術の産業において研究業務の4分の3を実施している。・企業の研究開発支援措置としての研究費税額控除
2014年の研究費税額控除(CIR)額は、研究支出で57億ユーロ、イノベーティブな研究支出で1億1,800万ユーロ、一続きとなっている支出で5,000万ユーロ、総額59億ユーロであった。・公的機関の研究支出
2015年の主要公的研究機関の国内研究開発支出(DIRD)は93億ユーロで、2014年比で0.1%の減少。これらは公的研究の51%を実施するフランスでも主要な研究実施機関である。DIRDの合計金額は57億ユーロで、CNRSとCEA(民生部門)で公的研究の約3分の1を実施している。・地方自治体による研究・技術移転の資金支援
2015年、地方自治体は研究と技術移転(R&T)に対する資金支援に12億ユーロを充てている。この資金支援は主として技術移転の実行と研究向けの不動産(土地・建物)に関するものである。・研究に充てられる予算の社会・経済的目標
2017年の「研究・高等教育」省際ミッション(MIRES)では、135億ユーロの予算を研究向けに割り当てている。これら予算の90%は研究および高等教育実施機関に対して補助金として配賦される。50%が基礎研究に割り当てられる。・フランスにおける企業研究開発の資金調達と実行
フランス国内に拠点を置く企業はDIRDの約58%の出資している。企業の研究開発支出の総額370億ユーロのうち、84%(312億ユーロ)をフランス在住企業が出資し、8%(29億ユーロ)が公的資金に依る。残りは外国からの投資である。・研究開発の人的資源
2015年にはフランスで50万人以上が研究活動に従事しており、そのうち3分の2が研究者で、残りの3分の1が支援要員である。女性は研究要員全体の30%を占めているが、研究者は4分の1に過ぎない。研究者10名のうち、6名が企業で、4名が政府機関で研究に従事している。・研究における機会均等
2015年は研究要員全体の32%、研究者の27%を女性が占めている。さらに、政府機関の研究者は37%が女性であり、企業では20%である。これはフランス特有の現象ではない。その割合は研究分野によって異なり、研究者で最も女性が多いのは、医学、化学、農学である。・企業における研究者
2015年には、およそ22万6,000人の研究者がフランス国内で企業の研究開発活動に従事している。この研究人口は若くて、女性は少なく(20%)、そのほとんどが理工系グランゼコール出身である。企業では研究者の12%が博士号を、そして17%が修士号を取得している。・博士課程と博士号
2016年9月時点で、7万4,319人の学生が博士課程に在籍している。2009年以降、博士課程学生数は減少が続いているが、博士号取得者数はここ4年間(2016年は1万4,565人)は安定している。・新興イノベーション企業
研究開発業務を実行する中小企業の起業や成長を促進する目的で「新興イノベーション企業(JEI)」なるステータスが設けられている。2015年にはその国内研究開発支出が11億ユーロに達し、ここ近年(2011年は7億ユーロであった)は高い成長を示している。この成長は主としてサービス部門である。・農業に役立つ研究開発
フランスでは、2015年は、農業研究開発支出が研究開発支出全体の4.6%(23億ユーロ)を占めた。この割合は前年比でも安定している。企業セクターと公共セクターが、これらの研究開発支出に均等に貢献している。・企業における新素材、ナノテクノロジーの研究開発
フランスでは、2015年は5社のうち1社が新素材やナノテクノロジーの分野で国内研究開発支出をしている。これらの2つの分野に関連する総研究支出は、2015年に34億ユーロに達し、これは企業の国内研究開発支出(DIRDE)全体の10.7%に相当する。・デジタル技術における研究開発
2015年は、フランスの国内研究開発支出の15%が情報・通信技術(ICT)に充てられている。企業は2015年に66億ユーロをICTに投資しているが、これは国内研究開発支出全体の21%に当たる。(政府は3億ユーロしか投じていない)・環境研究
2015年に、直接的・間接的に環境分野に充てられた研究開発支出は、56億ユーロ(国内研究開発支出の11%)と推定される。2015年の環境研究開発支出の約半分(エネルギーと輸送を除く)は企業が負担している。(2000年の企業負担は20%であった)。・Horizon 2020への参加を通じた欧州研究圏におけるフランスの地位
Horizon 2020枠組プログラムの下で欧州委員会が割り当てた助成金の10.6%をフランスが占めており、フランスは研究・イノベーション向け欧州予算の第3位の受益者である。原子力、宇宙、輸送がその対象分野となっている。 [DW編集局+JSTパリ事務所]