[本文]

国・地域名:
ドイツ
元記事の言語:
ドイツ語
公開機関:
ドイツ連邦政府
元記事公開日:
2018/08/22
抄訳記事公開日:
2018/10/04

デジタル評議会メンバーの発表

Die Gesichter des Digitalrates

本文:

将来、デジタル化の重要事項に関して連邦政府に助言を行う専門委員会であるデジタル評議会のメンバーが発表され、ドイツ連邦政府新聞情報庁がトピックスの中でこれを下記のように取り上げている。

デジタル評議会はアカデミアと産業界から10名のメンバーで構成され、実践に基づく経験やアイデアを結集させようとするもの。また、その支援によりデジタル化のチャンスを全ての人々のために利用可能にしようとするものである。評議会の委員長はカトリン・ズーダー(Katrin Suder)である。

Katrin Suder
ベルリンの私立大学Hertie School of Governance理事会メンバー。直近では連邦防衛省の政務次官を務め、装備・サイバー/情報技術局を管掌。物理学学位修得後McKinsey&Companyに勤務、ベルリン・オフィスを統括し、国内外の様々なプロジェクトを責任下に置く。

Chris Boos
1995年人工知能に特化した企業Arago社を設立。コンピューターサイエンスを学び、AIプラットフォームであるAI HIROを立ち上げ、企業向けのB2B分野に集中し、AIを基本技術として提供した。またこの他、戦略的企業や政策コンサルタントおよび投資家としても活動。

Urs Gasser
ハーバード大学Berkman Klein Center for Internet & Society の長であり、Harvard Law School 教授。法律を専門とし、現在、法律とイノベーションの関係について研究を専門とする。データ保護とセキュリティ問題に関心を抱く。クラウド・コンピューティングやAIといった新興技術にも注目。

Stephanie Kaiser
2017年創立のHeartbeat Labs GmbHの創業者でマネージング・ディレクター。デジタル技術によって保健ケアへのアプローチを改善、向上させたい意向。既に2015年に保健市場にモバイル・アプリをもたらした二つの企業の設立に関与。

Ijad Madisch
医師。2008年からマサチューセッツ創業病院(米)に勤務し、科学者のためのオンラインネットワークResearachGateを設立。世界中の1,500万人以上のメンバーをネットワークで繋ぐ企業のCEO。

Viktor Mayer-Schönberger
オックスフォード・インターネット研究所(Oxford Internet Institute /OII)のInternet Governance and Regulation教授。法学教授として企業、各政府、国際機関等への助言を行い、Big Data利用の社会的結果に取り組んでいる。19歳でソフトウエア会社Ikarusを設立、ウイルス対策プログラムを開発。

Beth Simone Noveck
ハーバード大学に学び、インスブルックで政治学およびゲルマン学を学ぶ。現在ニューヨーク大学の法学教授。2012年からGovernance-Programme の改善を目指すGovernance Labs を指揮。2009年から2011年までホワイトハウスで副技術補佐官を勤め、Open Government Initiativeを指揮。

Peter Parycek
2017年からフラウンホーファーFOKUS研究所でパブリックIT研究センターの長を務める。シンクタンクのOFITは公的空間におけるデジタル化にインパクトを与えるのが目的。法律情報学者としてドイツ語圏におけるOpen-Government運動に協力。また2015年以降ドナウ大学(墺)のElectronic-Governance部長。

Ada Pllert
2016年以降、ハーゲン通信大学学長。社会学者、経済学者であり、「ノルトライン・ヴェストファーレン州デジタル大学」協力プラットフォームの理事長。ドイツ語圏の各種大学の大学マネジメントで活動。1998年にクラーゲンフルト大学(墺)の組織発展領域における大学教授資格取得。

Andreas Weigend
物理学者。現在はスタンフォード大およびカリフォルニア大バークレイ校で教鞭をとる。Social-Data-Revolutionによる変化およびその消費者の購買およびライフスタイルの選択に対する影響について研究。企業へのコンサルティングを行う。Amazon社のChief Scientistとしてデータ戦略作成を支援。

デジタル評議会についてメルケル首相はビデオでメッセージを発表し、「連邦政府は将来デジタル化に関してデジタル評議会の助言を受けていくことになります。委員会の活動により、実用化できる多くの新しいアイデアが生まれくるでありましょう」と語った。

メルケル首相video-podcastの発言

「デジタル化は非常な大きなチャンスをもたらします。連邦政府は人々がこのチャンスをつかむことができるよう望むものです。政府はこのために既に多くのことをなしていますが、更に向上していかなければなりません。そこで実際に取り組んでいる専門家たちによるデジタル評議会で我々の助けとなります。専門家たちの知識の政治への移転ということであり、これによって我々は正しく行動できるのです。

連邦政府は何をするのか?
連邦政府は様々なフィールドで行動しています。第一に、全ての人々がデジタルという可能性にアクセスできるよう、インフラを整備拡張したいと考えています。この整備拡張は広帯域領域はもとより、移動体通信領域でも行われます。第二に子供たちが速やかにデジタルの進展に参加できるようにして参ります。そのため「デジタル協定」があり、連邦と州が共同で学校を広帯域インターネットでつなげ、デジタル学習コンテンツを利用できるようにします。第三に、市民が自身で果さなければならない官庁関係の手続きを徐々に少なくしていく、というよりも、市民が国へのデジタルアクセスを持つようにする考えです。即ち、市民ポータルを発展させるということであります。第四に、連邦政府はAIのための戦略を展開します。今後数年間でこの領域で本質的なイノベーションが生まれるからであり、我々はその先頭に立ちたいと考えています。

何のためにデジタル評議会が必要なのでしょうか?
常に外部から助言を求め続けることによりはじめて我々のガバナンスを保持できると、私は確信します。そこで肝要なのが、専門家たちがデジタル化全領域において様々な経験を有し、専門的知識を我々のために役立ててくれる人たちである、ということです。単に助けてもらうのみでなく、時により我々を駆り立て、不愉快な質問を投げかける、そして互いに議論し、それでも実際のなかで議論した内容を実行に移してくれることに重きを置くといった人たちが必要なのです。デジタル評議会は10人のそうした専門家からなる小さな、しかし力をもった審議機関なのです。私は評議会の活躍に期待し、その活動が我々を前進させ、我々が政府として実行に移すことのできる、多くの新しいアイデアをもたらしてくれるものと確信しております。」

[DW編集局]