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国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
国防高等研究計画局(DARPA)
元記事公開日:
2018/09/07
抄訳記事公開日:
2018/11/05

DARPAが次世代AI技術開発のための20億ドルの取組みを発表

DARPA Announces $2 Billion Campaign to Develop Next Wave of AI Technologies

本文:

9月7日付の国防高等研究計画局(DARPA)による標記報道発表の概要は以下のとおりである。

DARPAの多年度の戦略では、人と機械の間で、より信頼し、協働できる協力関係を創出するため、AIシステムにおける文脈推論を探求する。

その60年の歴史を通して、DARPAは人工知能(AI)技術の創出と発展において主導的な役割を果たしてきた。AI技術は国防総省に革新的な能力をもたらした。1960年代に始まるDARPAの研究は第一波のAI技術を形成した。それは、手作りの知識(handcrafted knowledge)、あるいは、狭く定義されたタスクを行うことができる、ルールに基づくシステムに注目したものであった。これはこの分野にとって極めて重要な前進であったが、それらのシステムは脆弱であり限定的なものであった。1990年代からDARPAはAI技術の第二波である機械学習技術の到来を支援した。機械学習技術は大量のデータから統計的なパターン認識を生み出した。自然言語理解、問題解決、ナビゲーション、認識に関する技術に対するDARPAの資金提供は、多数の重要で価値ある軍事的・商業的利用に加えて、自動運転車、携帯情報端末、自然に近い義肢などの実現につながった。しかしながら、これらの第二波のAI技術は、大量の質の高い訓練用のデータに依存しており、条件の変化に適応できず、パフォーマンスについて限定的な保証しか与えられず、得られた結果について利用者に説明することができない。

第一と第二の波のAI技術の限界に取り組むため、DARPAは機械が変化する状況に適応することを可能にする新たな理論と応用を探索する。DARPAはこの次世代のAIを技術進歩の第三の波、すなわち文脈適応の一つと見なしている。今後の技術の進むべき経路を明確にするため、DARPAは本日、「AI ネクスト」と呼ばれる新規および既存のプログラムに20億ドル以上の多年度の投資を行うことを発表する。長官であるスティーブン・ウォーカー博士は、メリーランド州ナショナル・ハーバーのゲイロード・リゾート・コンベンション・センターで開催されたDARPA主催のD60シンポジウムにおける閉会挨拶の中で、この大規模な取組みについて公式に発表した。

「AI ネクストによって、我々はコンピュータを特化した道具から問題解決のパートナーに変えることを目指した多岐に亘る研究投資を行う。」とウォーカー博士は述べた。「今日、機械は文脈推論能力を欠いており、その訓練はあらゆる場面を想定しなければならない。それはコストがかかるのみならず、究極的には不可能である。我々は、いかにして、機械が、新しい状況や環境を認識し、それらに適応する能力を獲得することによって、人のようなコミュニケーションと推論を行う能力を獲得することができるのか探求したい。」

DARPAは現在、AIの最先端技術を発展させるための方法を探求する20以上のプログラムを実施しており、第二波の機械学習技術を超えて文脈推論能力の獲得に向けて推進している。さらに、60以上の活気あるプログラムが、電磁波の周波数帯の共用のためのエージェントの協力から、サイバー上の脆弱性の検知・補修に至るまでの、AIの活用に取り組んでいる。今後の12か月間に、DARPAはAIの最先端技術の進展を目的とした新たなプログラムのための公募要領(Broad Agency Announcement)をいくつも発表する計画である。

AI ネクストにおいて探求される主要な分野には以下のものが含まれるかもしれない。一週間で調査できるセキュリティ・クリアランスや、一日で配備できるソフトウェアの認証など国防総省の重要な業務プロセスの自動化、AIシステムの頑健性と信頼性の向上、機械学習とAI技術のセキュリティと回復力の向上、消費電力、データおよびパフォーマンスの非効率の削減、説明可能性や常識推論などの次世代のAIアルゴリズムと応用の開拓。

DARPAの新規および既存の研究に加え、この取組みの主要な要素に、今年7月に最初に発表された「人工知能探索(AIE)」プログラムがある。「急速に技術が進展する今日の世界において、我々はプロジェクトを迅速に立ち上げ、アイデアから実用に移行させるよう努めなければならない。」とウォーカー博士は述べた。そのため、AIEを構成する一連のハイ・リスク、ハイ・ペイオフのプロジェクトにおいて、研究者は研究資金の授与後18か月以内に新しいAI概念の実現可能性を確立できるよう取り組むことになる。能率的な契約手続きと資金提供の仕組みを活かすことにより、公募発表後3か月以内に提案からプロジェクトの発足に至ることを可能にするであろう。

[DW編集局+JSTワシントン事務所]