[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
下院科学・宇宙・技術委員会
元記事公開日:
2018/09/13
抄訳記事公開日:
2018/11/13

米議会下院が国家量子イニシアチブ法案を可決

House Approves the National Quantum Initiative Act

本文:

9月13日付の下院科学・宇宙・技術委員会による標記報道発表の概要は以下のとおりである。

米議会下院は、量子情報科学(QIS)を次の水準の研究開発に移行させるために米国の産業界、学界および政府の専門能力と資源に梃子入れする法案を、本日全会一致で可決した。

国家量子イニシアチブ法案(H.R. 6227)はラマー・スミス委員長(共和党、テキサス州選出)により提出され、委員会の有力メンバーであるエディー・バーニス・ジョンソン議員(民主党、テキサス州選出)が28名の委員とともに共同提案している。

これから上院により審議が行われる本法案は、QISにおけるブレークスルーを米国が主導し続けることを確保するために、統一的な国家量子戦略を策定することを目的としている。

量子コンピュータは、今日の最先端のスーパーコンピュータの何百万倍も速く動作するポテンシャルを有している。量子コンピューティングの力を活用する国は、ヘルスケア、通信、金融サービス、輸送を含む幅広い産業において大変革を起こすであろう。量子コンピュータは従来のセキュリティ・プログラムを容易に突破できる可能性があるので、量子コンピューティングは国家安全保障や商業上および個人のサイバーセキュリティを維持するためにも極めて重要である。

本法案では、米国における量子科学の発展と技術応用を進めるために10か年の連邦プログラムを創設する。さらに、本法案は、省庁間の調整を監督するとともに、利害関係者間の連絡の中心として機能するため、国家量子調整室を大統領府科学技術政策局に設置する。本法案は、国立標準技術研究所(NIST)におけるQISの基礎研究と標準の開発を支援し、エネルギー省の基礎研究プログラムを通じた量子研究を認可し、エネルギー省の国立研究センターを設立し、国立科学財団(NSF)の基礎研究を認可し、NSFの多分野量子研究・教育センターを設立する。また、本法案は、基礎研究のギャップに対処し、より強固な人材の供給経路を作り、世界的に利用される量子の標準と計測法の設定を推進する。

スミス委員長
「量子技術は次世代の科学的技術的ブレークスルーを定義しなおすことになろう。アメリカは、海外との競争もあり、国家安全保障と経済的繁栄のため、量子分野における主導権を確保できるよう取り組みを拡大し、加速しなければならない。国家量子イニシアチブ法は米国が科学技術における世界のリーダーであり続けることを確保するであろう。本日の下院の可決は正しい方向への量子的飛躍である。」

ジョンソン委員会有力メンバー
「中国、欧州、ロシアが量子の研究と技術開発に大きな投資をしている時に、この分野でのリーダーとしての国際的立ち位置を維持するため、我々ができることを全て行うことは極めて重要である。量子コンピューティングにおける国際的リーダーシップを確保することは、軍事とインテリジェンスにおける優位ももたらすと共に、多くの人たちが今後数十年間に巨大な産業になると期待する分野における競争的優位性をもたらす。国家量子イニシアチブ法は我々を正しい道に導くものである。」

[DW編集局+JSTワシントン事務所]