[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
エネルギー省(DOE)
元記事公開日:
2018/09/24
抄訳記事公開日:
2018/11/29

エネルギー省が量子情報科学に2億1,800万ドルの助成

Department of Energy Announces $218 Million for Quantum Information Science

本文:

9月24日付のエネルギー省(DOE)による標記報道発表の概要は以下のとおりである。

この研究分野が情報処理の未来を形作る。

ワシントン D.C.発
本日、DOEは重要な新興研究分野である量子情報科学(QIS)において85の採択課題に2億1,800万ドルを授与することを発表した。今回の授与は、QISにおけるアメリカのリーダーシップを推進することに関するホワイトハウス・サミットに合わせて行われたものであり、多くの革新技術に加えて次世代の計算と情報処理の基盤を築くことが期待される、学際的な研究分野であるQISを推進することに政府が高い優先度を置いていることを強調するものである。

「QISは情報の時代の次のフロンティアを代表している。」とリック・ペリーDOE長官は述べた。「国際競争が激しい時代において、これらの投資は、情報処理の長期的な将来を形成し、我々の経済と社会に利益をもたらす様々な新技術を生み出す可能性がある分野において、アメリカの持続的なリーダーシップを確実なものにするであろう。」

授与されたプロジェクトは、全米の28の高等教育機関と9つのDOEの国立研究所に所属する科学者によって主導され、新世代の量子コンピュータのためのハードウェアとソフトウェアの開発から、特殊な量子特性を有する新材料の合成と特性評価、さらには、ダークマターやブラックホールなどの宇宙の現象について、量子計算・情報処理を用いて知見を得る方法の探索に至るまで、幅広い課題を網羅している。

この研究は多数の潜在的な新規応用において長期にわたって実を結ぶことが期待される。量子コンピュータは、十分に成熟したシステムが開発され配備されれば、今日の最も強力なスーパーコンピュータの能力でも全く対応できない、ある種の大規模で極めて複雑な問題を解くことができるであろうことが知られている。

その他の応用として、量子システムは潜在的に極めて高感度のセンサーとして、医学、国家安全保障、科学的な応用において多様な可能性が期待されている。

また、量子計算は、サイバーセキュリティが極めて重大な関心事項となっている時代の必須の能力である暗号の分野で革命を起こすことがほぼ確実視されている。

DOE科学局の3つの主要なプログラム担当室である高度科学計算研究室(ASCR)、基礎エネルギー科学室(BES)、高エネルギー物理室(HEP)がこのイニシアチブに参加し、競争的ピア・レビューの手続きに基づいて、それぞれ資金助成を運営している。

研究のテーマと計画によって、助成の期間には2年から5年までの幅がある。2018会計年度の総助成額は7,300万ドルであり、後続年度の助成は議会による歳出予算計上を条件としている。

[DW編集局+JSTワシントン事務所]