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- 国・地域名:
- EU
- 元記事の言語:
- 英語
- 公開機関:
- 欧州委員会(EC)
- 元記事公開日:
- 2018/04/25
- 抄訳記事公開日:
- 2018/12/06
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AIへの投資の促進と倫理ガイドラインの設定等に関する欧州委員会の取り組み
- 本文:
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欧州委員会の2018年4月25日付標記報道発表の概要は以下のとおり。
欧州委員会はこのほど、人工知能(AI)を欧州市民の利用に資するとともに、この分野での欧州の競争力の強化を目的とした一連の施策を発表した。
委員会は、AIへの官・民投資を増やし、社会経済的な変化に備え、適切な倫理的および法的枠組みを確保するべく、3本の柱からなる取り組みを提案している。● 財政支援を強化し、公共部門と民間部門による取り込みを促進する
EU(公共および民間部門)は、今から2020年末までの間にAIの研究・イノベーションへの投資を少なくとも200億ユーロに増やす必要がある。これらの取り組みを支援するため、欧州委員会は、Horizon 2020研究・イノベーションプログラムの下で、2018年から2020年までの期間に投資額を15億ユーロに増やす。この投資は既存の官民パートナーシップから、例えばビッグデータやロボット技術などに対して、25億ユーロの追加投資を引き出すことになると期待される。それにより輸送から医療に至るまでの主要セクターにおけるAIの展開が支援される。欧州全域のAI研究拠点をつないで強化し、試験や実験を促進する。欧州委員会はまた、すべてのユーザーに対してEU内の関連するAIリソースへのアクセスを提供する「AI-on-demandプラットフォーム」の開発を支援する。
さらに、「戦略的投資のための欧州基金」が、企業やスタートアップによるAIへの投資に対して追加支援を提供する目的で投入される。「戦略的投資のための欧州基金」は、2020年までに総額5億ユーロ以上の投資を主要セクターの全域に亘って投入することを狙っている。
● AIがもたらす社会・経済的変化に対する備え
人工知能の発達で多くの職が創出されるが、消滅するものもあり、大多数のものが変容する。このため、欧州委員会は、加盟国に対し、教育・研修制度を近代化し、「欧州における社会的権利の柱」(European Pillar of Social Rights)に基盤を置いて労働市場の移行を支援することを奨励している。欧州委員会は、より多くのAI人材を欧州に引き寄せて保持するための企業・教育間パートナーシップを支援し、欧州社会基金からの財政支援を受けて専用のトレーニングスキームを構築し、そうすることでデジタルスキルのほか、科学・技術・工学・数学(STEM)、起業家精神、創造性の能力確保をサポートする。EUの次の複数年にわたる資金支援枠組み(2021-2027)の提案には、AI特有の専門知識を含む高度なデジタルスキル教育に対する支援強化が含まれる。
● 適切な倫理的・法的枠組みの確保
欧州委員会は、欧州基本権憲章(EU’s Charter of Fundamental Rights)に基づき、データ保護や透明性などの原則を考慮し、科学と新技術における欧州倫理グループの活動に基づいて、2018年末までにAI開発に関する倫理ガイドラインを提示する。
※ 欧州委員会が専門家グループを任命
一方、欧州研究圏(ERA)ポータルサイト(オーストリア)の2018年6月15日付報道によると、欧州委員会は人工知能(AI)に関して委員会に対する助言を行う専門家52名を任命し、ステークホルダーの共同体「欧州AI連合」の構築を支援する協力プラットフォームを創設した。同グループの任務は、今年末までに倫理ガイドラインを策定し、2019年半ばまでに上記EUの取り組みについて一連の提言をまとめることである。 [DW編集局]