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- 国・地域名:
- 米国
- 元記事の言語:
- 英語
- 公開機関:
- エネルギー省(DOE)
- 元記事公開日:
- 2018/10/08
- 抄訳記事公開日:
- 2018/12/11
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エネルギー省が効率的な地熱掘削技術推進のために1,140万ドルの助成を発表
- 本文:
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10月8日付のエネルギー省(DOE)による標記報道発表の概要は以下のとおりである。
本日、DOEは、地熱エネルギー開発を推進するための、総額1,140万ドルとなる、7つのプロジェクトを選定したと発表した。これらのプロジェクトは、米国における革新的な地熱エネルギー技術の研究開発を加速することに焦点を当てている。
「地熱エネルギーはクリーンで効率的なベース・ロード・エネルギー源であり、米国の多様性に富むエネルギー・ポートフォリオの重要な一部を成すものである。新しい効率的な掘削技術の開発は、コストを低減し、国内の再生可能エネルギー源の利用可能性を向上させる。」とリック・ペリーDOE長官は述べた。
現在、米国の地熱発電は西部諸州にのみ所在しており、従来型の地熱源が約3.8ギガワットの電力を送電網に供給している。熱水・高温岩体地熱発電システムにより地熱発電を拡大できるポテンシャルがあり、現在のところ利用できない推定100ギガワットに達する資源を利用したり、従来の地熱源の地理的制約を取り除くことができる可能性がある。
これらの資源を費用対効果が高いエネルギー源に経済的に転換するためには技術革新が必要である。助成を受ける者たちは、地熱井を掘削するための革新的技術を探索する初期的な研究開発プロジェクトに焦点を当てる。それらのプロジェクトは、非掘削時間を削減し、掘進率を向上させ、地熱掘削とその関連技術をの研究室から市場への移転を加速する方法を特定することが期待される。
選定されたプロジェクトには以下のものが含まれる。
アルゴンヌ国立研究所(イリノイ州アルゴンヌ):超硬度のナノ複合材料を用いた高度で低コストの材料を開発。超高速の表面処理と組み合わせて、掘進率倍増可能な地熱井掘削の調節可能な新しい刃の開発につなげる。
ゼネラル・エレクトリック社、GEグローバル・リサーチ(ニューヨーク州ニスカユナ):300℃で1,000時間動作可能な、新しい掘削方向制御用センサーの開発と試験。これは、現在の器具よりも有意に高温で掘削中の計測を可能にする。
オクラホマ州立大学(オクラホマ州スティルウォーター):岩石と刃の相互作用による摩耗の追跡に基づく、共通の掘削刃のための新しい詳細なモデルを開発。次の段階として、そのモデルからのリアルタイム・データに基づく、地熱掘削の最適化システムの設計。
サンディア国立研究所(ニューメキシコ州アルバカーキ):知的な掘削アーキテクチャのためのセンシング機器、アルゴリズム、アクチュエータを開発し、掘削刃がどの深さまで進むのかをリアルタイムで最適化し、坑内の掘削コンポーネントの長寿命化をはかり、計画外の揚降の減少、より一定した掘削速度につなげる。
サンディア国立研究所(ニューメキシコ州アルバカーキ):掘削流体流をトルクに変換する新しい全金属坑内モータの開発と試験。このモータは、現在の温度制約を取り除き、振動を減少させ、高温地熱源への傾斜掘削を可能とする。
テキサスA&M工学実験ステーション(テキサス州カレッジステーション):局所化した衝撃波を発生させて、刃の前に微小なひび割れを生じさせ、岩石を切ることを容易にするために、ナノ秒のマイクロ・プラズマの放出を利用する新しいドリル刃システムの開発と試験。このシステムは地熱井掘削の掘進率を倍増することができる。
オクラホマ大学(オクラホマ州ノーマン):掘削された坑井に隣接する砕けた岩への流体の流失を防ぐために、地熱温度で活性化する形状記憶ポリマーを用いるスマートな逸泥防止剤の開発と試験。スマートな逸泥防止剤は割れ目の中で膨張し、非掘削時間を減少させ、高温の地熱ドリルの運用において坑井を強化する。
DOEの地熱技術室は必要な技術ブレークスルーを達成するための初期段階の研究開発を支援している。
[DW編集局+JSTワシントン事務所]