[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
国家科学技術会議(NSTC)
元記事公開日:
2018/10/19
抄訳記事公開日:
2018/12/26

飲料水中の新興汚染物質に対する研究ギャップ解消計画

PLAN FOR ADDRESSING CRITICAL RESEARCH GAPS RELATED TO EMERGING CONTAMINANTS IN DRINKING WATER

本文:

2018年10月19日付け、国家科学技術会議(NSTC)の標記記事の概要は次のとおりである。

新興汚染物質(Contaminants of emerging concern:CEC)が米国のあちこちの飲料水で低レベルではあるが、見つかった。最近の研究によると、特定の条件下でCECを摂取すると健康に影響があることが分かった。この懸念に対処するため、米国政府科学技術政策局(OSTP)は「CEC研究開発特別委員会(タスクフォース)」を立ち上げ、議会の要請に答えて、この重要な研究ギャップに対処するため省庁横断的な協力計画を作成した。

今回の省庁をまたぐ計画には次の5つの要素がある。
(1)重要なCEC研究ギャップの特定
(2) CEC研究ギャップに関する各省庁のミッションの調整
(3)省庁間で協力・調整すべき研究テーマ
(4)行程表
(5)研究効率の向上のための活動

この計画を作成するにあたり、タスクフォースは安全飲料水法令(Safe Drinking Water Act)のCECに関連する項目、連邦政府および州政府の研究開発状況、CECに関しての科学的理解の状況を見直した。結果、研究ギャップは次の3つにまとめられた。

汚染物質の特定
● 水のサンプリング・デザインの改良
● CECモニタリング技術の改良
● 汚染物質特定のための高速分析ツールの継続的開発
● CECデータの処理を自動化する、AIなどを駆使した計算ツールの開発加速

暴露特性評価
● 水供給システムの構造と完全性の調査
● 蛇口での暴露評価のためのモデル開発とデータ収集
● 水供給システム別および水源別暴露シナリオの検討
● 消費者行動と人口動態が暴露に及ぼす影響の調査

健康への影響
● 人体への健康リスクを迅速に評価する計算ツールの開発
● 現実的な暴露シナリオ下での人体への健康リスクを評価するためのツールの高度化
● センシティブな発達段階でのCEC暴露の人体への影響評価法の改善
● CEC事象における心理の理解増進
● 安全な代替化学物質の特定方法の研究

現在および将来において、以上の要素をCECに適用し活用することで、飲料水汚染の問題を積極的に発見し対処することが可能となり、それにより安全な水の供給ができ、米国民の健康を守ることができる。安全な水に関わる国、州、地方政府、部族政府、私企業等すべてのステークホルダ―が結集することが必要である。

[DW編集局+JSTワシントン事務所]