[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
環境保護庁(EPA)
元記事公開日:
2018/11/28
抄訳記事公開日:
2019/02/07

EPAが指摘:オバマ政権が国家気候評価(NCA)で最悪ケース・シナリオの使用を指示

Fact-Check: Obama Administration Pushed “Worst-Case Scenario” In Climate Assessment

本文:

11月28日付の環境保護庁(EPA)による標記報道発表の概要は以下のとおりである。

アンドリュー・ウィーラーEPA長官代行が今朝のワシントン・ポストの生放送のインタビューで次のように述べたことは正しかった。「オバマ政権が、報告書の作成者たちに対して、最悪ケース・シナリオに着目するように言ったとしても、私は驚かないだろう。」

実際、オバマ政権はそうしたのである。

デイリー・コーラー(訳注:保守的なニュース・オピニオンのウェブ・サイト)は、今日の午後、次のように報道した。「2015年5月の気候変動研究プログラムの小委員会(SGCR)からのメモでは、国家気候評価(NCA)の作成者たちに対して、上限シナリオとして代表的濃度経路(RCP)8.5(高位参照シナリオ)に、下限シナリオとしてRCP4.5(中位安定化シナリオ)に焦点を当てるよう指示している。」

デイリー・コーラーの記事は続ける。「SGCRは行政府の職員から構成され、大統領府科学技術政策局(OSTP)に監督されている。そのメモが発出された時、オバマ政権が政治的に任命したジョン・ホルドレンがOSTPの局長であった。」

(訳注)本報道発表は、主として、デーリー・コーラーのウェブ・サイトから部分的に引用する形になっている。全体像の理解のため、以下補足する。
①NCAは気候変動評価法に基づいて4年毎に行われるもので、13省庁横断型の米国気候変動研究プログラム(USGCRP)によって作成される。最新のものは第4次国家気候評価(NCA4)であり、全2巻からなっているが、そのうちの2巻目(Vol Ⅱ)を公表する報道発表が11月23日付けでUSGCRPから行われたところである。(デイリーウォッチャーで紹介済:http://crds.jst.go.jp/dw/20190125/2019012517576/

②デーリー・コーラーの報道には、本報道発表に引用されている内容のほかに、以下の主旨の記述がある。
・RCP8.5は、排出削減を行わない現状維持(business as usual)のシナリオとして考えられ、NCA4における気候変動に関する悲惨な将来予測はそれによるところが大きいが、多数の専門家がRCP8.5はありそうもなく、非現実的であると批判するようになっている。
・ホルドレン前OSTP局長は、NCA4の作成においては、それ以前のNCAと同様に優れた気候評価を行えるよう、最新のピア・レビューされた科学に依拠するように指示しただけである、と反論している。

[DW編集局+JSTワシントン事務所]