[本文]
-
- 国・地域名:
- スイス
- 元記事の言語:
- 英語
- 公開機関:
- スイス国立科学財団(SNSF)
- 元記事公開日:
- 2018/07/31
- 抄訳記事公開日:
- 2019/02/14
-
学術研究に対するオープン・アクセス:スイスがトップを飾る
Open access to scientific works: Switzerland has the top spot
- 本文:
-
スイス国立科学財団(SNSF)の2018年7月31日付のニュースで、標記の記事が掲載されている。以下にその概要をまとめる。
===
スイスは、出版物の39%がオープン・アクセス(OA)の状態に置かれており、OA出版に関してトップにランクされている。世界的には、オープン・アクセスの状態で成果が出版されている研究の割合は、30%である。2009年から2016年までの間にスイスで製作された学術出版物220,416点が、データベース「スコーパス(Scopus)」に掲載されている。このうちの86,030点、すなわち39%が、オープン・アクセス・ジャーナルという形で掲載されているか、もしくはオープン・アクセス・プラットフォーム上に置かれている。これらの数値は、欧州委員会が実施した分析に基づいており、スイスがトップ、僅差でクロアチア(37.9%)とエストニア(37.1%)がこれに続く結果となっている。オープン・アクセス出版が占める割合は、英国では36.1%、米国では同じく36.1%、ドイツでは30.8%であった。
スイスでは、すべての出版物のうちグリーンロード方式が28.5%を占めており、オープン・アクセス出版としてはこの方法が好まれている。グリーンロード方式では、論文は最初に有料の学術ジャーナルで発表され、その後OAリポジトリにアーカイブされる。出版直後にオープン・アクセスとなるゴールドロード方式で出版されている論文はわずか10.6%である。グリーンロード方式は国際的にも主流だが、7年の調査期間の間にその割合はわずかに減少している。一方ゴールドロード出版が占める割合は、同じ7年の間にほぼ3倍に増加している。
著者によると、オープン・アクセスへの移行は緩慢だという。何よりもまず、関連当事者全員にとっての枠組み条件を最適化する必要がある。
スイス科学財団(SNSF)が資金供与した研究は、スイスのランキングに貢献している。2011年から2017年にかけて、SNSFが資金供与した研究で製作された出版物の約50%が自由にアクセスできる状態に置かれている。SNSFは、OA 2020という方針を続行することで、2020年までにオープン・アクセス100%を実現したいと考えている。これが実現されれば、研究界、経済界および社会全体への新たな知識の普及が加速するはずである。
欧州委員会の調査は、2009年から2016年までのスコーパスの計量書誌学的データをもとにしている。またこの調査では、すべての研究分野が対象となっている。
[JSTパリ事務所]