[本文]

国名:
米国
公開機関:
国家科学技術会議(NSTC)
元記事公開日:
2018/12/04
抄訳記事公開日:
2019/02/15
元記事の言語:
英語

NSTCによる米国STEM教育戦略報告書

Charting a course for success: American’s Strategy for STEM Education

本文:

国家科学技術会議(NSTC)は2018年12月4日付けの標記報告書を発表した。報告書の概要は以下のとおりである。

科学・技術・工学・数学(STEM)教育そのものの特徴は、重複する一連の分野から、学習や能力開発について統合的で学際的なアプローチへと進化している。この新しいアプローチには、実社会での応用を通じて学術的な概念を教えることが含まれ、学校、地域社会、職場での公式・非公式の学習を組み合わせている。それは、批判的思考や問題解決のようなスキルを、協力や適応能力などのソフトスキルと併せて伝えようとするものである。基本的なSTEMの概念は、小学校や中学校の早い段階で学ぶのが最適である。なぜならば、それらはキャリア技術訓練、高度な大学レベルの学習や大学院研究、実務における技術スキルの向上に不可欠なためである。米国民の全体的なデジタル・リテラシーを高め、STEM労働力を強化するには、必然的に米国のSTEM活動全体の関与が必要である。

連邦政府は、あらゆるレベルのステークホルダーと協力して、特に女性やその他のマイノリティグループのSTEMキャリアへの参加障壁を取り除く努力をすることで、STEM教育を推進する重要な役割を担っている。したがって、この報告書は、すべての米国民が質の高いSTEM教育に生涯を通じてアクセスすることができ、米国がSTEMのリテラシー、イノベーション、雇用において世界的リーダーとなるという将来構想に基づいて、今後5年間の連邦政府戦略を策定している。

上記構想は、次の3つの目標を追求することによって達成される。

・STEMリテラシーのための強固な基盤を構築する
すべての米国民が、計算論的思考を含む基本的なSTEMの概念を習得し、デジタル知識を身につける機会を持つことができるようにする。公衆がSTEMの素養を持てば、急速な技術変化に対応するための備えが整い、市民社会に参加する準備も整うことになる。

・STEMにおける多様性、公平性、包摂性を高める
すべての米国民(特にSTEM分野や雇用で歴史的に不十分な教育しか受けることができなかった人々)に質の高いSTEM教育を生涯にわたって提供する。この目標が達成されるまで、米国のSTEM活動の利益は完全には実現できない。

・未来に向けたSTEM人材を養成する
大学教育を受けたSTEM実務者と、(4年間の学位を必要としないが)技能を要する職場で働くSTEM労働者の両方を対象に、STEMキャリアを追求できるように、学習者を奨励・育成する本格的な学習コースを創設する。将来の仕事のために育成されるSTEM修得米国民の多様な人材プールは、経済の主要分野を支える国家イノベーション基盤の維持、科学的発見や未来技術の創造に不可欠である。

連邦政府戦略は(分野横断的な一連の方策を示す)次の4つの道筋に沿って構築されている。

・戦略的パートナーシップを展開し、強化する
教育機関、雇用者、およびそのコミュニティ間の既存の関係を強化し、新しいつながりを展開する。つまり、学校、大学、図書館、博物館、その他のコミュニティ・リソースを共有して、各学習者の教育・キャリアの選択肢の幅を広げ、豊かにするSTEMエコシステムを構築することを意味する。また、地元の雇用主との協力による実務ベースの学習体験、インターンシップ、見習い、研究体験に学習者を関与させる狙いもある。また、教育コミュニティにおいて、公式・非公式の学習の融合や、高等教育準備課程で主要な学問と応用技術の両方を修了できるようなカリキュラムの融合の機会を模索する。

・分野融合的な領域に学生を引きつける
自発性や創造性を必要とする複雑な現実世界の問題・課題に焦点を当てることで、STEM学習をより意味のある、しかも学生に刺激を与えるものにすることを目指す。プロジェクトベースの学習、科学フェア、ロボットクラブ、発明チャレンジ、あるいはゲームワークショップなど、参加者が分野間にまたがる知識や方法を用いて問題を特定・解決することを求める学際的な活動に学習者を巻き込むことで、イノベーションや起業を促進する。

・コンピュータ・リテラシーを高める
現代社会における重要なスキルとして計算論的思考の推進を目指す。コンピュータ科学を含む計算論的思考は、計算デバイスを効果的に使用することだけではない。より広義には、データを用いて複雑な問題を解決することを意味し、子供の時期から学ぶことができるスキルである。

・透明性と説明責任をもって運用する
STEMプログラム、投資、活動において、オープンで証拠に基づく実践と意思決定を行う。

[DW編集局+JSTワシントン事務所]