[本文]
-
- 国・地域名:
- スイス
- 元記事の言語:
- 英語
- 公開機関:
- スイス国立科学財団(SNSF)
- 元記事公開日:
- 2018/11/05
- 抄訳記事公開日:
- 2019/02/25
-
量子コンピュータの認証方法
- 本文:
-
スイス国立科学財団(SNSF)の2018年11月5日付のニュースで、標記の記事が掲載されている。以下にその概要をまとめる。
===
スイス国立科学財団(SNSF)が資金供与する研究者が、量子コンピュータが本来の機能を果たしているか否かをチェックするためのプロトコルを開発した。これは、これまでにない計算力を含め、量子コンピュータの可能性を現実のものにするための重要な第一歩である。量子コンピュータは、大学だけではなく、グーグルやIBM、マイクロソフト、スタートアップ企業のD-Waveなどの研究チームによっても開発されている。SNSFの資金を受給するバーゼル大学Nicolas Sangouard教授は「量子コンピュータの計算力は、遅くとも数年以内に通常のコンピュータの計算力を大きく上回るはずである。私たちはこれを『量子超越性』と呼んでいる。」と、状況のめまぐるしい変化を語った。
Sangouard教授とその共同研究者は先ごろ、これらのコンピュータが目的に適しているか否かをチェックする方法を明らかにした。量子コンピュータは高い能力を備えているが、マイナス270度という極端な低温下で作動する非常にデリケートなものもある。Sangouard教授らのアプローチにより、長短期記憶(LSTM)から情報処理装置、コンピュータを安全な量子通信ネットワークに接続するのに必要なコンバーターにいたるまで、量子コンピュータのすべての構成要素を認証することが可能になる。このプロトコルには、既にコンピュータ内にある部品のみで作動するため、装置を追加する必要がないという別のメリットもある。。原理上、このプロトコルは、基本技術に関わらずあらゆる種類の量子コンピュータで作動することになっている。
この研究は、SNSF Professorshipの実施期間中に、モビリティ助成金を受けて、バーゼル大学とインスブルック大学で行われた。SNSF Professorshipは、その後、博士号は持っているが、助教授の資格を持たない優秀な研究者に与えられる研究資金制度SNSF Eccellenza Professorial Fellowshipに取って代わった。Nicolas Sangouard教授は、連邦研究能力センター(National Centre of Competence in Research:NCCR)の「Quantum Science and Technology:QSIT(量子科学・技術)」の準メンバーで、このスキームにはSNSFが資金を提供している。またSangouard教授は、新たなFETフラッグシッププログラム「Quantum Technologies(量子技術)」の一部であるQuantum Internet Alliance(量子科学インターネット連盟)プロジェクトにも参加している。
[JSTパリ事務所]