[本文]

国・地域名:
英国
元記事の言語:
英語
公開機関:
ビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)
元記事公開日:
2018/12/07
抄訳記事公開日:
2019/02/26

新産業戦略1周年記念イベントでのグレッグ・クラークBEIS大臣の講演内容

The Industrial Strategy: forging our future

本文:

2018年12月7日付ビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)の標記発表では、新産業戦略の1周年を記念して行われたグレッグ・クラークBEIS大臣の講演内容を伝えている。概要は以下のとおり。

● 産業戦略の目標

昨年(2017年)の産業戦略発表時の第1の目標は、研究開発の強化、スキルの向上、インフラの整備など経済の基盤を整えることにあった。これら生産性の基盤は産業戦略の基礎となるものである。

第2の目標は、各産業部門がサプライチェーン、大小さまざまな企業、科学研究機関、政府機関と協力することで、戦略の整合性が実現可能になり、投資が促進されることを確実にすることである。我々が設定した「セクター協定(Sector Deals)」は企業との戦略的・長期的なパートナーシップであり、投資を促進し、雇用を創出し、世界の舞台で競争するのに必要な非常に幅広いセクターの能力を支援することを目的としている。

第3の目標として、各国の産業全体および人々の知識が技術的な機会によって変容しつつある分野を設定した。産業戦略において我々が設定したのは、次の4件の主要課題である。

・AIとビッグデータ解析
・クリーンな成長
・未来の輸送手段
・高齢化社会

● その後の進捗状況

まず、研究開発への公共投資では、英国がこれまで経験した中で最大の増加が見られる。昨年だけでも、600件以上のプロジェクトが、産業戦略チャレンジ基金とその関連基金を通じて英国全土で資金支援を受けている。プロジェクトには自動車のバッテリー寿命を50%延ばすための新しいハイブリッド・エネルギー・ストレージ・システムを開発しているウェールズの Deregallera 社のような会社や、ブリストル大学のエンジニアと一緒に洋上風力タービン検査用の無人機を開発している(ブリストルに本拠を置く)スピンアウト企業 Perpetual Robotics社などがある。

将来の仕事に備える人材の育成では、昨年、4万7,000人の人々がより高度なレベルの実習を開始して、経済界において必要とされる技術的専門能力を習得した。

インフラ投資は現在、G7各国のうちで最も急成長している。我々は道路、鉄道、空港だけでなく、現代経済が依存するブロードバンドやモバイルのインフラもグレードアップしている。

企業の立ち上げや成長を希望している人々を支援した。今年は7万8,000社以上の中小企業が英国ビジネス銀行の支援を受けている。

昨年は、自動車、クリエイティブ産業、ライフサイエンス、人工知能、建設、原子力産業の各セクターと政策協定(Sector Deals)を締結した。今週、第2次ライフサイエンス政策協定を発表した。今週、また鉄道と航空宇宙で新協定を締結する。政府が行う投資による長期戦略の利点の1つは、それが民間セクターによる長期投資に信用を与えることである。世界をリードする製薬会社であるUCBはこのほど、「ライフサイエンス政策協定」を背景にして、英国の新たな発見・研究拠点などに今後5年間で10億ポンドの新規投資を行うことを約束した。航空宇宙分野でこのほど立ち上げるセクター政策協定は、すでに成功しているパートナーシップを基盤とするもので、次の技術の波への2億5,000万ポンドの新規投資を計画している。これは、政府と産業界の間で折半の共同投資となる。これには、2025年までの電気飛行機、無人機、自動操縦航空機の開発を目的とした「未来のフライト」プログラムが含まれており、英国で最も成功している業界のうちの1つの業界の将来に向けて、最新の構想、最新の研究、最新の応用を適用することを狙っている。

成長戦略で掲げた4件の主要課題のうち、「未来の輸送手段」に関しては、技術が自動運転車への道を切り開いている。また電気自動車が従来のガソリン車やディーゼル車に取って代わる。今年の上半期に欧州全土で販売された電気自動車のうち5台に1台は英国製であった。「クリーンな成長」に関しては、現在、洋上風力発電の導入において英国は世界のリーダーとなっており、過去2年間だけでもコストを半分に削減している。「健康的な高齢化」に関して、これまで考えられていた以上の長寿化という驚異的なブレークスルーが起きつつある。「AIとデータ」に関しては、チューリング研究所の研究成果を通して英国の産業を変革している。
新たに3件の主要研究プログラムを進めている。その1つは、食品廃棄物を持続可能なプラスチックに変える研究で、主要課題「クリーンな成長」を支援するものである。

[DW編集局]