[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
エネルギー省(DOE)
元記事公開日:
2019/01/29
抄訳記事公開日:
2019/03/04

21世紀における米国科学技術のリーダーシップへのDOEの貢献

American Scientific Leadership in the 21st Century

本文:

2019年1月29日付の米国エネルギー省(DOE)による標記発表の概要は以下のとおりである。

米国の繁栄、安全保障、国家競争力は科学とイノベーションにかかっている。米国人の知的好奇心、人々の起業家精神、さらには大学と民間セクターの研究との連携による基礎および初期段階の研究に対する政府の支援により、米国は科学的発見とイノベーションにおいて他を圧倒している。政府と議会は、DOE科学局(SC)およびDOE国立研究所全体による支援を通して、米国が今日だけではなく21世紀全体を通して、科学的理解、技術的洗練、工学的スキルの源泉であり続けることを約束している。

DOE科学局(SC)は、2019年度において、次の7つの研究開発イニシアチブに特に重点を置くように指示を受けている。これらのテーマの中で、人工知能、量子情報科学、先進マイクロエレクトロニクスは、科学技術政策局(OSTP)の2020年度予算の優先事項でも強調されている。

・機械学習(ML)・人工知能(AI)
亜原子粒子実験から公衆衛生調査まで、幅広いテーマに関する最先端の研究では、膨大な量のデータが生成される。そこでは決定的な手がかりが隠れていたり、関連性の発見が困難であったりする可能性がある。ML / AIの進歩は、特に科学局の先導的コンピューティング施設(LCF)を通じて適用される場合に、DOEミッション領域内外のこのような分野における斬新な科学ブレークスルーを可能にする。例えば、DOEが今年初めにオークリッジ国立研究所に委託した”Summit LCF”は、世界最速のコンピュータであることに加えて、機械学習に最も強力なものとなるようにゼロから設計された。

・量子情報科学(QIS)
原子より小さい規模では、物質とエネルギーは特異な方法で振る舞い、これが非在来型のセンシング、ネットワーク通信、コンピューティングに向けた特別な機会を提供している。これらの機会には、古典的な力学や計算方法を使用している最先端のデバイスをもってしても実行できない機能が含まれている。そのようなデバイスは、通信において前例のないセキュリティや、比類のない感度を持った科学的・医学的診断、さらには古典的な計算方法の範囲を超えたシミュレーションや計算向けのツールを提供できる可能性がある。材料科学技術の最近の進歩が、そのようなシステムの開発をこれまで以上に実行可能なものにした。諸外国がQISにかなりの投資を開始しているが、米国は、SCが提供する物理学とコンピューティングにおける無類の施設と専門知識を活用する省庁間取り組みを通して、量子の挙動を強力なアプリケーションに活用するという挑戦的な分野で主導権を維持することができる。

・マイクロエレクトロニクス・イノベーション
既存の材料や設計パラダイムが物理的なナノスケールの限界に近づくにつれて、古典的なコンピューティング性能、密度、エネルギー使用量の改善のペースは遅くなった。小型で強力なスマートフォンから高速のLCFスーパーコンピュータまで、あらゆる面で見られてきた継続的な進歩は、マイクロチップ・アーキテクチャ、設計手順、製造方法のイノベーションなしには持続できない。しかし、これらの分野における画期的な研究開発により、米国は、マイクロエレクトロニクスにおける米国のリーダーシップを再確立することができる。

・核融合プログラムの促進
核融合発電の開発は、クリーンで責任ある方法で世界に電力を供給し、ほぼ無制限のエネルギーを供給するための鍵を握っている。太陽にエネルギーを与えるプロセスである核融合は、豊富な自然の元素を利用し、使用済み燃料という無駄を作り出さない。核融合エネルギー研究への政府、学術界、民間企業の投資を組み合わせることにより、この分野における相乗的な共同作業と米国のリーダーシップを狙ったユニークな機会が生み出される。核融合研究における国際的な協力を継続して支援する一方で、国立研究所、米国の大学、世界をリードする民間核融合イノベーション共同体との交流強化を通して、米国のこの科学分野におけるリーダーシップを加速させていく。

・バイオサイエンス
SCは、ヒトゲノム計画における重要な役割など、ゲノミクス、その他の生物科学分野において、確立された役割を担っている。ゲノミクス、バイオサイエンスのその他の側面に関する基礎研究は、燃料、エネルギー効率、先進製造技術、環境管理、国家安全保障に関するさまざまなDOEミッションに密接に関係している。

・アイソトープ生成
SCは、医学的診断や治療などの研究・応用目的の放射性アイソトープの重要なサプライヤーである。商業的サプライヤーがいない様々なアイソトープについて、DOEは国立研究所の処理施設を管理し、全国の学術施設や商業施設でアイソトープ生成を支援することによってギャップを埋めている。

・分野横断的な実現技術
SCはすでに、光源や粒子加速器など、世界で最も巨大で、最も複雑で、最も強力な科学インフラを運営している。次世代のSCの利用施設は、それらを推進する重要なハードウェア・コンポーネントを改良すれば、さらに強力になる可能性がある。これらのコンポーネントの多くには分野横断的な用途がある。例えば、強力な磁性は、特に粒子加速器や核融合科学研究に貢献する。

[DW編集局+JSTワシントン事務所]