[本文]

国・地域名:
フランス
元記事の言語:
フランス語
公開機関:
高等教育・研究・イノベーション省(MESRI)
元記事公開日:
2018/11/30
抄訳記事公開日:
2019/03/05

フランスのHIV / AIDSの予防と治療に関する研究の最新状況

VIH/SIDA : point sur les recherches et les pistes pour une prévention plus efficace

本文:

2018年11月30日付高等教育・研究・イノベーション省(MESRI)の標記発表の概要は以下のとおり。

12月1日の世界エイズデーは、、予防と治療に関するHIV研究の進歩と最新の疫学的データを評価する良い機会である。

● エイズ対策研究の最前線にあるフランス

・フランスは生物学・医療の研究で世界トップクラスの国の一つである。
・フランスは、HIV / AIDS分野の科学発表論文数では、欧州で2番目の国である(世界では第6位)。
・国立保健医学研究所(INSERM)は世界のトップ10の研究機関の一つである。
・エイズの分野では、フランスは流行の最初から、特に「エイズとウイルス性肝炎研究に関する国立研究機構(ANRS)」の施策によって主導的な役割を果たしてきた。

● 顕著な科学的進歩と治療の向上

1970年代後半に始まった世界的流行で、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染が世界の保健上の問題となった。エイズは3,500万人以上の人々を死に至らしめ、医学の進歩にもかかわらず、それはまだ続いている。

基礎分野、予防・患者のケアの両方において過去数十年にわたって行われた研究結果は注目に値する。

・1983年、FrançoiseBarré-Sinoussi と Luc Montagnierの両教授によるヒト免疫不全ウイルス(HIV)の発見。
・1996年、抗レトロウイルス治療法の発見。
・2018年6月、パスツール研究所とINSERMの研究者らは「患者コントローラ」の謎を突き止めた。これらの血清反応陽性の人は何の薬もなしでウイルスの複製を防ぐことができる。これら患者の免疫細胞のいくつかが微量のウイルスを認識する能力を持っていることを発見した。これら患者の免疫系は実際には平均よりはるかに敏感で、そしてウイルスに感染した細胞を非常に素早く殺す。
・フランスの研究者らは、HIVに感染した「休眠」細胞と健康な細胞を区別するマーカーを特定した。
・予防接種研究が最優先事項である。医学・科学界は、統合的な予防戦略と予防ワクチンの組み合わせのみがHIV感染流行の進展を制御できると見ている(ワクチン研究所:VRI)。

フランス(ANRSはINSERM、パスツール研究所、CNRS、CEA、病院の研究者ネットワークを通じて参加)は、基礎研究、臨床研究、人文・社会科学を統合したこの意欲的なプログラムに参画している。

今日では、HIVを抱えて生きる人々の死亡率・罹患率に大きな影響を与えるより広範囲の抗レトロウイルス療法がある。欧州と北米に住むHIV陽性の人々の平均寿命は、抗レトロウイルス薬が導入された1996年以降10年伸びた(2017年にThe Lancet HIV 誌に発表された研究)。2008年に感染後すぐに治療を開始した人の平均寿命は、男性で73歳、女性で76歳である。抗レトロウイルス薬は、このように治療と予防の両方を完全に変えた。

[DW編集局+JSTパリ事務所]