[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
上院司法委員会
元記事公開日:
2018/12/12
抄訳記事公開日:
2019/03/06

中国のスパイ行為に関するグラスレイ上院司法委員長の声明

Grassley on Chinese Espionage: It's called cheating. And it's only getting worse.

本文:

12月12日付け、上院司法委員会による標記記事の概要は次のとおりである。

過去2年間、ロシアが米国にもたらす国家安全保障上の脅威が絶えず喧伝されてきた。選挙妨害などの弊害は過小評価されてはならない。しかしながら、このようなメディアの熱狂はおそらくもっと強力で現実的な中国の脅威から注意を逸らしてしまっている。つまり、中国が、社会のあらゆる分野において、卓越した超大国である米国にとって替わろうとしている脅威である。中国は手段を選ばず、このために邁進している。習近平主席は2050年までに「世界で一番の超大国」になるとか、「中国製造2025」イニシアチブで中国の製造業およびハイテク企業を10年かけて刷新すると宣言しているが、中国の計画は経済支配を含んでいる。

米国は世界で最も創造的で、革新的な社会であり続ける。中国は技術、情報通信、先進ロボット、AI、その他の科学研究で相当の進化を遂げたが、経済スパイ行為というツールが広がり続けている。端的に言えば、中国のしていることは詐欺と呼ばれるものであり、悪化するばかりである。

過去9か月だけをとってみても、司法省は少なくとも8件の企業機密盗難事件少なくとも16人の中国人と4つの中国企業を取り調べ、告発あるいは有罪とした。過去5年間では、さらに6人の中国人が、米国の大学から研究を盗んだ罪で、取り調べを受けるか、告発されるか、有罪となった。そのうちの一件は中国の主要なスパイ機関の副部門長である諜報官が関与していた。彼は、米国の公開法廷で尋問を受けた最初の中国人諜報官であった。他にも多くの中国人諜報官やハッカーが商用航空機データの機密情報を多年度に渡って盗む企てで告発された。中国政府所有の会社が米国の半導体技術を盗むという大規模な企てもあった。これらはどれも中国政府主導の経済的スパイ行為の脅威を象徴するものである。

つい先週も中国最大の情報通信会社ファーウェイの最高財務責任者が逮捕された。また、中国財政部所有の金融会社がボーイング社から機密な衛星技術を盗もうとして実態のない会社を使ったことが報じられている。その技術は軍で使用される可能性のあるものであった。

元国家安全保障局長官のキース・アレクサンダー氏は、中国のスパイ行為による経済利益は6,000億ドルと推定され、それは歴史上最大の富の移転だと述べた。国際間での知的所有権窃盗の50-80%が中国によるものであり、米国でのサイバー技術を使った経済スパイ行為の90%以上が中国によるものであるとされている。

国立衛生研究所(NIH)はNIHの研究資金が外国政府からの支援を明らかにしていない研究者に渡ろうとしていたと報告した。中国の「タレントプログラム」は米国の研究者を採用することより先進技術を中国にもたらそうとしている。米国のトップクラスの大学の多くに設置され、中国政府により運営されている孔子学院は、知性の自由を抑え込み、中国を批判する全ての者を黙らせる。

このようなケースが増えているため、司法省は中国のスパイ行為に対抗する新しいイニシアチブを発表した。それに期待したい。

[DW編集局+JSTワシントン事務所]