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- 国・地域名:
- 米国
- 元記事の言語:
- 英語
- 公開機関:
- 政府説明責任局(GAO)
- 元記事公開日:
- 2018/12/13
- 抄訳記事公開日:
- 2019/03/08
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GAOが米国の長期的脅威に関する報告書を発表
- 本文:
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12月13日に政府説明責任局(GAO)が発表した標記報告書の概要は以下のとおりである。
■調査の背景
米国は、政治、経済、軍事および社会のシステムを含む複雑な多くの脅威に直面している。これらの脅威は、新たなあるいは復活した敵対者が、政治的にあるいは軍事的に成長し、兵器や技術が進歩し、環境や人口が変化するに伴って拡大し続ける。2018会計年度国防授権法に付随する下院委員会報告は、国家安全保障上の重要な結果を伴う新興の脅威を明らかにするようGAOに求める条項を含んでいる。これを踏まえ、本報告書は、国防総省(DOD)、国務省(State)、国土安全保障省(DHS)と国家情報長官室(ODNI)(以下4機関と呼ぶ)の多様な回答者が明らかにした長期的な脅威、即ち約5年以上先あるいは未知の時間枠で生じうる脅威に焦点を当てている。長期的な脅威を明らかにするために、GAOは4機関に属する、新興の脅威を評価する45の政府組織に対し質問調査を行い、78%の回答を得た。GAOは、これらの回答の内容を分析し、具体的な脅威を明らかにし、脅威の大きな分類を行った。質問調査からのデータを補完するために、GAOは4機関から提供された国家安全保障戦略と機関文書を検討するとともに、機関の主要な職員に聞き取り調査を行った。この報告書は、2018年9月28日にGAOが発行した機密指定の報告書の公表版である。DODが機密情報とみなした情報は除かれている。
■調査により見出された事項
4機関の組織が明らかにした210の個別の脅威を分析し、GAOは26の長期的脅威から成る4つの幅広い分類を作成した。その4つとは、敵対者の政治的・軍事的発展、デュアルユース・テクノロジー、兵器、事象と人口変化であり、そのうちデュアルユース・テクノロジーに含まれる脅威は以下のとおりである。・人工知能(AI):敵対者が、民生産業で利用される入手可能な設計を通してAIへのアクセスを拡大し、AIを武器と技術などの分野に適用する可能性がある。
・量子情報科学:量子通信によって、米国の人員が傍受あるいは解読できないようなセキュアな通信を敵対者が開発する可能性がある。量子計算によって、敵対者が情報を解読し、米国の人員や軍事作戦を標的にする可能性がある。
・IoT:IoTが拡大し暗号などの従来のセキュリティの手法が情報を有効に保護できなくなるのに伴って、米国がネットワークやデータを保護することが困難になる可能性がある。さらに、敵対者がIoTに支えられている重要なインフラや機器を混乱させる可能性がある。
・自動・無人システム:敵対者は米国人員の顔を認識し、動作を理解し、声を照合できる自動能力を開発しており、それは米国の作戦を危険に晒す可能性がある。無人の地上、水中、空中および宇宙の輸送手段が戦闘と偵察に使われる可能性がある。
・バイオテクノロジー:暴力的な過激派組織、多国籍犯罪組織などの国家的または非国家的組織が、植物、動物や人間を改変するために遺伝子を修正し、あるいはDNAを合成する可能性がある。自然に存在しない遺伝コードを生み出すために利用される合成生物学の拡散は、化学兵器・生物学兵器を作り出す当事者の数を増加させる可能性がある。
・その他の新興技術:入手可能で高度な暗号技術のような、以前は軍に限られていた新技術に敵対者がアクセスできるようになると、テロや犯罪活動を監視する米国の取り組みが妨害される可能性がある。3Dプリンティングなどの付加製造技術のような、その他の新興技術は、サイバー攻撃に対し脆弱であったり、武器等の制限されている材料の製造に利用されたりする可能性がある。 [DW編集局+JSTワシントン事務所]