[本文]

国・地域名:
英国
元記事の言語:
英語
公開機関:
環境・食糧・農村地域省(Defra)
元記事公開日:
2018/12/17
抄訳記事公開日:
2019/03/08

COP24での海洋酸性化への取り組みに関する特別講演

Actions on Ocean Acidification – the Other CO2 Problem – Towards Realising Sustainable Development

本文:

2018年12月17日付環境・食糧・農林省(DEFRA)の標記発表では、同省の環境担当政務次官 テレーズ・コフィー(Thérèse Coffey)博士の COP24 における特別講演の内容を伝えている。概要は以下のとおり。

海洋には炭素が貯蔵されているが、気候系からどれだけの量の炭素が恒久的に除去されているのかは、いまだに不明である。過去150年間で、海洋は人間が発生させたすべての二酸化炭素の半分を吸収している。これは海洋の酸性化をもたらし、それは急速に進み、海洋生物を脅かしている。また進行中の海洋の温暖化が、二酸化炭素を吸収する能力を低下させている。

サンゴ礁は、この酸性化とその周辺の水温上昇によって被害を受けている。サンゴは重要な生息環境を提供しており、この地球上で最も豊かな生物多様性の一部を保持しており、何億人もの人々がサンゴに食料、漁業、観光収入、さらには暴風雨からの防護を頼っている。

英国では、気候変動に関する政府間パネルによる最近の特別報告、特に気温上昇を1.5℃に制限できたとしても、サンゴ礁の70%が消滅するとの予測に、懸念を抱いている。もし2℃上昇すると、事実上すべてのサンゴ礁が失われることになる。

英国は最近、ブルー・カーボン(海洋で生息する生物によって吸収・固定される炭素)国際パートナーシップ(IPBC)に参加して、海や沿岸の生態系に貯蔵される炭素の重要性についての理解、およびこれらの貴重な生息地を監視、管理、評価するための政策に関する知識を深めている。

(上記のような状況を述べた上で、同博士は講演の最後を次のように結んでいる)

科学は行動を起こす拍車となるが、それには膨大な規模の政治的意思が必要になる。我々が享受してきたカーボン・ベースの発展の結果と、それらの利益を全世界の人々のために確保しようとする試みとの間のバランスをとる必要があるため、これは困難な課題である。

より良い海洋環境を築くために我々が協力してなすべきこととして、次の事項がある。

・海洋観測に関する地球規模での協力関係を強化するべく、優れた協力事例を構築すること
・科学界を超えて科学の卓越性を促進すること
・海洋・気候科学研究の重要性とそれが気候対策において果たす役割を認識すること

[DW編集局]