[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
米国科学振興協会(AAAS)
元記事公開日:
2019/02/14
抄訳記事公開日:
2019/03/29

議会が2019年度のオムニバス予算を発表、科学関連機関の予算は大幅増額

Basic Science, Agricultural Research, NASA Would Finish Strong in FY 2019 Omnibus

本文:

2月14日付、米国科学振興協会(AAAS)の標記記事の概要は次のとおりである。

2019年度に入り4ヶ月が経過した。昨夜、議会は主要な政府科学関連機関を含むオムニバス予算を発表した。(補足:発表された予算は上下両院の承認後、大統領署名により2月15日に成立した。)それによると、科学関連機関の予算は大幅増額となる。これは、昨年の国立衛生研究所(NIH)、防衛、エネルギー研究の大幅予算増加に追随するものである。環境、気候研究に特化した機関、環境保護庁(EPA)、米国地質調査所(USGS)、米国海洋大気局(NOAA)はトランプ政権の削減案から免れた。

全般:AAASの試算では2019年度の政府科学技術関連組織の研究開発費は総額1,515億ドルで、前年度比6%または86億ドルの増加。この増加は裁量予算上限を2018年度から2019年度にかけて引き上げるという昨年の両党の予算合意によるものである。基礎研究は応用研究より増加率が高く、議会がNIH、DOE科学局、NSF、NASA科学局、DOD等の基礎研究を強く支持したことによる。反面、USGSやエネルギー省の各技術室のような応用研究には基礎研究と同程度の増加率はみられない。

オムニバスの研究予算(基礎、応用)の累計は約865億ドルで過去最高となる。対GDP比は少々落ちて0.41%となる。以下は各省庁別予算の概要。

国立科学財団(NSF):4%の増加で昨年度の増加率とほぼ同じ。中核的な研究費は2.9%増加で、教育・人材育成局のSTEM活動は要求額が認められ、3艘の研究船建造と南極基地プロジェクトの予算も承認された。

NASA: 7億6,400万ドルにも及ぶ増加で、2019年度予算総額は215億ドルとなり、2010年のピーク時より少し低い程度となる。探査、惑星科学は大幅に増加し、地球科学は政権による削減を免れた。

農務省:農業研究サービス(ARS)は8.5%もの増加があり、研究施設の建設や近代化に総額3億8,100万ドルの予算となる。国立食料・農業研究所(NIFA)は4.5%の増加、農業食糧研究イニシアチブ(AFRI)は前年度比3.8%の4億1,500万ドルとなる。国立生物・農業防衛施設(NBAF)は国土安全保障省から農務省(USDA)に移されることが決まった。

海洋大気局(NOAA):海洋大気研究部(OAR)は3.2%の増加、気候研究は大幅削減を免れた。シーグラントカレッジプログラムは政権による廃止から免れ、300万ドルの増加で6,800万ドルの予算となった。気象研究プログラムは390万ドル増加、海洋調査研究は550万ドルの増加となった。

国立標準技術研究所(NIST):昨年予算並み。昨年の施設建設費の一時的大幅増加のため、2019年度の施設建設予算は67%降下した。

環境保護庁(EPA):政権は24%削減としたが、議会は昨年同様とした。

米国地質調査所(USGS):総額で前年度比1.1%のみの増加であるが、政権による25%削減よりはよい。

国土安全保障省(DHS):科学技術予算は前年度より2,100万ドル減少。これは上記のNBAFが農務省に移管されることによるものであり、中核的な研究開発費は前年度並み。

国勢調査局:10年ごとの国勢調査が2020年に行われるため、要求どおり10憶ドルの増加となる。

[DW編集局+JSTワシントン事務所]