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- 国・地域名:
- 英国
- 元記事の言語:
- 英語
- 公開機関:
- 英国研究・イノベーション機構
- 元記事公開日:
- 2019/01/24
- 抄訳記事公開日:
- 2019/04/03
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英国のスーパー耐性菌研究の新時代
New era for UK superbug research: 20-year vision and 5-year action plan
- 本文:
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2019年1月24日付英国研究・イノベーション機構(UKRI)の標記発表の概要は以下のとおり。
抗菌剤耐性を抑制、管理、軽減させるための英国の新しい20年ビジョンと5か年国家行動計画(2019-2024)が、このほどダボスで開催された世界経済フォーラムでマット・ハンコック(Matt Hancock)保健大臣によって発表された。
健康、動物、環境そして食物連鎖をカバーする本計画は、英国が、スーパー耐性菌の拡大を防ぎ、治療の向上を目指して、実質的で具体的な進歩を遂げるための方策を定めている。UKRIは、(ビジョンと5カ年計画の核心的な特徴をなす)今後の”One Health”研究やイノベーションの優先課題の策定を支援した。
抗菌薬耐性(AMR)は現在、21世紀における人間の健康に対する最も深刻な世界的脅威の1つとして認識されている。抗菌薬に対する菌の耐性は、国から国へとますます広がっている。効果的な抗生物質がなければ、通常の手術、緊急手術、移植、化学療法を含むほとんどの医療行為の安全性が低くなり、ポスト抗生物質の時代には、わずかな感染でも致命的になる可能性がある。2014年のレビューでは、2050年までに世界全体のAMRのコストは最大100兆ドルになり、年間最大で1,000万人の死亡者が増える原因になると推定されている。
2014年以来、英国は使用する抗生物質の量を7%以上削減し、食用生産動物用の抗生物質の売上高は40%減少した。しかし、2013年から2017年にかけて、薬剤耐性血流感染症の数は35%増加した。薬剤耐性淋病のような健康に深刻な脅威をもたらす薬剤耐性感染症の出現に伴い、我々が保有する抗生物質は必要なときだけ使われるようにプロテクトする必要がある。
今日までに、UKRIの研究会議横断的なAMRイニシアチブは、総額4,400万ポンドを投じて、78件の学際的プロジェクトを支援した。またAMRの世界的拡がりを認識したうえで、4,100万ポンドを投じて、AMRの共同プログラム・イニシアチブのメンバー国および新興国・中低所得国との協力によるプロジェクトを支援した。
UKRIは次のような支援を行う。
- AMR関連研究優先分野を総合的に支援する。
- AMRに関する世界的な研究戦略に対する影響力を維持し、英国の資金による研究の連携を確保し、研究が第一線のチームにとって有用である必要性に力点を置く。
- 学際的ネットワークおよび能力を展開して、より適切な予測分析を実施し、あらゆる分野にわたって情報提供と介入を展開する。
- 感染症、予防、微生物学関連分野における継続的な質の高い研究を支援し提供するべく、必要な科学的能力の開発を継続する。
[DW編集局]