[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
知的財産執行調整官(IPEC)
元記事公開日:
2019/02/04
抄訳記事公開日:
2019/04/03

IPECが議会に提出した知的財産年次報告書

Annual Intellectual Property Report to Congress

本文:

2019年2月4日付の米国知的財産権執行調整官(IPEC)による標記報告書の概要は以下のとおりである。

過去2年間に、トランプ政権は知的財産権を促進・保護するため多くの施策を実施してきた。政権の戦略的アプローチは、次の4つの部分で構成される。

1.貿易相手との関わり

過去2年間、トランプ大統領は世界中のリーダーと会談し、取引相手との知的財産権の問題を一貫して提起してきた。トランプ政権は自由で、公正で、互恵的な貿易を強く主張してきた。

トランプ政権は、対話から執行ツールに至るまであらゆる適切な手段を活用して、不公正な取引慣行に対抗する用意があり、公正で互恵的な経済秩序のルールを維持し近代化するため同じ考えを持つパートナー諸国と協力し、必要な場合には公正な取引執行措置を強く求める。また、貿易および投資プロジェクトにおける透明性と国際基準の遵守を確保するべく多国間での取り組みを強く求める。

2.貿易ツールを含むすべての法的権限の効果的な活用

トランプ政権は米国の知的財産の盗用に強く抗議しており、米国の革新的な経済を守ることを追求している。知的財産の盗用は、米国企業に損害を与えるだけでなく、米国国家の安全を脅かす。米国の繁栄促進は、政権の国家安全保障戦略(NSS)の柱の一つである。この21世紀の地政学的競争で成功を収めるには、米国は研究、技術、イノベーションでリードしなければならない。米国の知的財産を盗用し、自由社会のイノベーションを不当に悪用する輩から、我々は米国の国家安全保障イノベーション基盤を防衛する。

NSS は知的財産権の保護を優先施策として掲げており、「米国は、敵対的な外国の競争相手による米国の公的および民間セクターの技術や技術的知識の不正な横領を減らす。投資家に友好的な環境を維持しつつも、本政権は議会と協力して対米外国投資委員会(CFIUS)を強化し、現在および将来における国家安全保障上のリスクに確実に対処していく。米国は、あらゆる情報源による知的財産の盗用を抑え込むために、対敵諜報活動および法執行活動を優先させ、違反を防止し訴追するための新しい法規制メカニズムを探求する」としている。

3.法執行の措置・協力の拡大

米国の法執行機関は、知的財産の盗用に関与している犯罪企業に対して強力な措置を講じており、国内外での執行の取り組みを改善している。トランプ政権の知的財産権行使の取り組みでは、米国のイノベーションと知的財産権保護という目的のもと、法務省(DOJ)、国土安全保障省(DHS)、保健福祉省(HHS)の食品医薬品局(FDA)、その他の行政府法執行機関が緊密に連携している。

4.民間セクター、その他の利害関係者との関わりと連携

トランプ政権は、知的財産政策、執行、保護に関する全範囲の問題に対処すべく、中小企業から大企業まで、米国の幅広い業界関係者と緊密に協力している。知的財産の問題に対処するための新しい解決策と建設的な方法を見つけるためには、協力が極めて重要となる。この取り組みには、行政府機関が市民との間で実施する研修・能力開発プログラムが含まれる。これにはまた、知的財産政策の重要領域における行動戦略の策定目的で、大きな争点となりそうな問題や政策優先課題に関する行政による関与などもある。

[DW編集局+JSTワシントン事務所]