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- 国・地域名:
- 米国
- 元記事の言語:
- 英語
- 公開機関:
- 国防高等研究計画局(DARPA)
- 元記事公開日:
- 2019/02/06
- 抄訳記事公開日:
- 2019/04/05
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DARPAが複雑な損傷の治療法開発のために「組織再生のためのバイオエレクトロニクス」プログラムを立ち上げ
- 本文:
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2月6日付けの国防高等研究計画局(DARPA)による標記記事の概要は以下のとおりである。
爆風損傷、火傷など戦闘員が経験する傷は、骨、皮膚および神経を著しく損傷し、最も重度の怪我については回復に数カ月から数年を要し、時に不完全な結果をもたらす。この長く限定的な治癒過程は、患者にとっては苦痛と苦痛の長期化を、そして、軍にとっては即応力の低下を意味する。しかし、DARPAは、バイオセンサー、アクチュエータ、および人工知能(AI)における最近の進歩が拡張・統合されることで、組織再生を劇的に改善する可能性があると考えている。これを達成するためにDARPAは、新たな「組織再生のためのバイオエレクトロニクス」(BETR:Bioelectronics for Tissue Regeneration)プログラムを立ち上げて、創傷の進行を入念に追跡し、リアルタイムで治癒プロセスに刺激を与えて、組織修復と再生を最適化するバイオエレクトロニクスを開発する。
現在の治療方法では、医師は、損傷者に(組織に再生能力がある場合)自然治癒させるか、組織移植による治癒等を施すが、このような受動的なアプローチでは、治癒が遅く、時に治癒が不完全、または全く治癒しないことがある。最近の実験的治療法は迅速な回復の希望を与えるが、これらの新しいアプローチの多くは本質的に静的なものである。例えば、「スマート包帯」は連続的に弱い電場を作ったり、局所的に薬物を送達したりできる。しかし、これらのアプローチは、変化する創傷の状態に適応しないので、その効果は限られている。
4年間のBETRプログラムの終わりまでに、DARPAは研究者たちが閉ループの適応システムを実証することを期待している。それには、創傷状態を評価し介入に対する体の複雑な反応を追跡するためのセンサー、適切な生化学的・生物物理学的信号を空間的・時間的に伝えて治癒に影響を与える生化学的アクチュエータ、データを処理してモデルを構築し、介入決定するための適応学習アプローチが含まれる。
BETRプログラムの申請チームにはバイオエレクトロニクス、人工知能、バイオセンサー、生体組織工学、細胞再生の専門家が入ることが期待される。また、申請に当たっては、骨統合手術後の治癒に対処する提案が推奨される。DARPAは、2019年3月1日にバージニア州アーリントンで公募説明会を開催する。
[DW編集局+JSTワシントン事務所]