[本文]

国・地域名:
ロシア
元記事の言語:
英語
公開機関:
ロシア大統領府
元記事公開日:
2019/02/07
抄訳記事公開日:
2019/04/11

若手科学者向け2018年度科学・イノベーション大統領賞の発表

Presentation of 2018 Presidential Prize in Science and Innovation for Young Scientists

本文:

2019年2月7日付ロシア大統領府の標記発表によると、プーチン大統領はこのほどクレムリンにおいて若手科学者向けの科学・イノベーション大統領賞を授与した。2008年に創設された本賞は、今年もロシアの科学の発展への貢献、経済・社会の革新的発展を後押しする新しい機器や技術の創出、さらには国防の強化に対して、若手科学者・専門家に年次賞が授与された。本賞の授与に際し、プーチン大統領が行った演説の概要は以下のとおり。

ロシアの国土開発事業などロシアのすべての国内プロジェクトは強力な科学的基盤を必要とし、その広大な国土全体に経済的、科学的、技術的成長の新しいメカニズムを構築する必要があることを改めて強調したい。我々が間もなく世界クラスの科学教育センターや研究施設の開発を開始しようとしているのはそのためである。それらはまず、シベリアや極東など科学とその成果が社会・経済的発展にとって特に重要である地域で構築される。これら新しい成長の拠点は、若者にとって特に重要である。遺伝子・数学先端研究センターの開設により、科学における専門職としてのキャリアの機会が彼らにとって大幅に拡がると確信している。

よく知られたことであるが、科学の成功は、新しい考え方をし、新しく高度な知識を持ち、自分の仕事に専念し、自らの最先端のアイデアを成し遂げようと努力する、若手科学者など才能のある情熱的な人々によって決定される。彼らの高い目標を支援し、彼らの動機に力を添えるべく、政府は科学、イノベーション、技術の功績に対して、彼らの専門的成長の機会を拡大する一連の助成金、奨学金、賞を立ち上げた。

かくして、ロシア科学財団は、若い科学者が博士号を取得した瞬間から自分の研究グループを創設するまで、彼らを支援するべく、2017年に特別プログラムを開始した。過去2年間で、1,500人を超える若手研究者が助成金を受け、500以上のチームが研究チームを立ち上げ、デジタル生産技術、個別化医療、省資源エネルギーなどの有望な分野で研究を組織した。このプロジェクトの利点の1つは、官僚的な手続きが少ないことで、これは常に科学界から高く評価されている。同じアプローチが国家科学プロジェクトにも完全に適用されることを期待している。

近年、39歳未満の研究者の数が大幅に増えた。優れた才能のある若者が科学研究チームに加わってきている。この傾向は、毎年標記のこの賞の候補者数が増えていることからも明らかである。

(受賞者とその業績の紹介)

Yekaterina Grizanova氏による研究は、害虫が生物学的植物保護製品に耐性を持つようになる微細メカニズムを究明し、作物や森林の保護に役立つ効果的で最も重要な環境にやさしい製品の創出を可能にした。

生物学者Vyacheslav Dyachuk 氏による研究は、神経細胞発達の基礎の理解に貢献し、その結果としてパーキンソン病やアルツハイマー病を含む様々な病気の治療を進めることに大きく貢献している。これは健康的で活動的な生活期間を延ばす上で非常に重要である。

Ivan Oseledets 氏は、計算技術における画期的な解決策を提案した。それは、研究対象に関する多数の数学データの効率的な処理に焦点を当てたものである。これに基づいて開発されたソフトウェアは、複雑な応用タスクを解決するために世界中の研究グループによって広く使用されている。この受賞者によって提案されたアプローチは、すでにマトリックス解析の教科書に収録されている。

トムスクの物理学者 Yevgeny Orlov 氏と Viktor Zharkov 氏は、超低濃度の爆発性物質の新たな発見方法を開発した。この方法は、離れたところから膨大な乗客の流れの中の危険源を見えるようにすることを可能にし、基本的に軍用犬にとって代わることができる。専門家らは、これらの解決策は外国での同様の開発よりもかなり進んでいると見ている。

[DW編集局]