[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
米国科学振興協会(AAAS)
元記事公開日:
2019/02/15
抄訳記事公開日:
2019/04/19

新ホワイトハウス科学顧問が企業の投資と研究の確保について語る

New Science Adviser Speaks on Industry Investment and Securing Research

本文:

2月15日付、米国科学振興協会(AAAS)の標記記事の概要は次のとおりである。

ホワイトハウス科学顧問として初めての公の場で、ケルビン・ドログマイヤー(Kelvin Droegemeier)氏は次のように語った。

「米国の科学は、政府と企業の繋がりがより強固になることで、恩恵を受けるだろう。第二次世界大戦以降、企業の資金による基礎研究は急激に伸びている。このことは国家の全体的な研究開発ポートフォリオの強化に活用しうる。民間企業の投資の上昇は政府の研究資金が削減されたことへの反応ではなく、米国の企業がクリエイティブであり、新しいアイデアに投資し、探求する自由を持っているからである。1957年にソビエト連邦がスプ―トニク衛星を打ち上げたとき、米国連邦政府のみがそれに対抗することができた。今や、民間企業やスタートアップ企業が容易にそれをやってのけることができるだろう。」

国立科学財団(NSF)の調査によると、2015年の企業の基礎研究に対する投資は連邦政府の投資を初めて上回った。これは政府予算が削減されたのも理由の一つである。

ドログマイヤー氏はホワイトハウス科学技術政策局(OSTP)局長として1月2日に承認された。1976年にこの職位が創設されて以来、最も長い間、空席が続いた後であった。トランプ政権の下、OSTPの人員数はオバマ政権下の時の130人から60人に減った。

2019年AAASの年次大会で、ドログマイヤー氏(異常気象専門家)は気候変動については僅かの言及をしたのみである。2月14日、サイエンス誌記者とのインタビューでは大気中の二酸化炭素の増加が地球にとって脅威であるかどうかは言わず、代わりに、「気候システムはとても複雑であり」もっと研究する必要がある、と述べた。

OSTPの局長となって日が浅いが、ドログマイヤー氏はすでに大学学長、政府役人、関連団体のトップと話し、彼らがセンシティブな研究を確保することを最優先していると語っていたと言う。

ドログマイヤー氏は国家の安全保障や経済安全保障にインパクトのある研究を保護する方法を模索したいと言う。「米国の学生や研究者が開かれた研究環境を享受して欲しいと願っているが、同時に、我々のリソースが、米国に害をもたらそうとする者や、米国が苦労して手に入れた利益を自らの苦労なくして摘み取ろうという者たちの手に渡ることには用心しなければならない。」

また、「研究管理からくる負担」を政府や大学の科学者から取り除きたい。要求される事務作業や規制は「一年に数十億ドル」相当の無駄な時間と研究イノベーションに換算される、と言う。

「トランプ政権は確かに規制、管理義務を集中的に減らそうとしているが、研究者として、また元研究担当副学長として私はこれがどのくらい大事か、研究者にとってどれだけの直接のインパクトがあるか、よくわかっている。」と述べた。

OSTPが取り組む特定の業務や規制には触れなかった。

[DW編集局+JSTワシントン事務所]