[本文]

国・地域名:
英国
元記事の言語:
英語
公開機関:
財務省
元記事公開日:
2019/03/07
抄訳記事公開日:
2019/05/08

財務大臣による春季予算演説

Spring Statement 2019: what you need to know

本文:

2019年3月13日付財務省の標記発表では、フィリップ・ハモンド(Philip Hammond)財務大臣が同日議会に対して行った春季予算演説(Spring Statement)の概要を伝えている。その中から科学技術・イノベーションに直接関わる部分を抜粋要約して以下に記す。

● 科学技術と新経済

2018年度予算には、経済を変革し、高度なスキルを伴う雇用を創出し、英国全土の生活水準を向上させる最先端科学技術に対する大幅な追加支援が含まれている。

  • 財務大臣は、デジタル経済における競争に関する第三者による調査報告書であるFurmanレビューを歓迎するとしている。同レビューは、ハイテク巨大企業がますます支配的になっていることを明らかにした。同大臣は、政府が(市場を開放し、消費者にとっての選択・イノベーションの機会を高めるべく)デジタル時代の競争ルールを改定するようにとの上記レビューの要請に、今年の後半には応える旨発表した。
  • 財務大臣は、可能な限り早期にデジタル広告市場の市場調査を実施するように競争・市場局(CMA)に要請した。これはFurmanレビューの提言である。
  • オックスフォードシャーでの欧州共同トーラス・プログラムについて、欧州委員会が契約を更新しない場合、施設で働く世界有数の専門家らがその革新的核融合エネルギー研究を継続できることを確保すべく、完全に英国の資産として資金支援することを財務大臣は約束している。
  • オックスフォードシャーにある英国最先端の施設におけるエクストリーム・フォトニクス(最先端のレーザー技術)に8,100万ポンドを投資した。
  • ケンブリッジでのバイオインフォマティクス研究に4,500万ポンドを投じて、英国のゲノミクス業界の振興を図った。
  • エジンバラの新しいスーパーコンピュータ(既存の能力の5倍)に7,900万ポンドの資金支援を発表した。その処理能力は医学、気候科学、航空宇宙における発見に貢献するもので、関節炎やHIV向けの標的治療など以前の英国のブレイクスルーを基盤としている。

● オープンで競争力のある英国

英国がEUを離脱するため、英国がビジネスにオープンであり、海外からの訪問者にとって魅力的であることを世界に知らしめることが不可欠である。

  • 研究機関や革新的な企業は、この秋から博士号レベルの職業に対して、高度技術ビザの制限免除の恩恵を受ける。海外での研究活動も、定住ビザ申請において英国居住と見なされる。つまり、重要なフィールドワークを実施するために海外で過ごした時間に対して、研究者が不当にペナルティを科されることはなくなる。

● クリーン成長

2018年度予算では、産業戦略、クリーン成長戦略、環境25か年計画に基づく、政府によるクリーン経済への移行加速策が示されている。

● 教育とスキル

雇用主が必要とするスキルを人々が確実に備えることが、将来の労働力創出に不可欠である。予算では、現代の経済の下で人々が成功に必要なスキルを備えるための措置(実習制度等)を定めている。

[DW編集局]