[本文]

国・地域名:
英国
元記事の言語:
英語
公開機関:
ビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)
元記事公開日:
2019/03/07
抄訳記事公開日:
2019/05/09

2030年までに英国全電力の3分の1の供給を目指す洋上風力エネルギー革命

Offshore wind energy revolution to provide a third of all UK electricity by 2030

本文:

2019年3月7日付ビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)の標記発表の概要は以下のとおり。

クレア・ペリー(Claire Perry)エネルギー・クリーン成長担当大臣はこのほど、政府・業界共同の「洋上風力セクター協定」の新規発足に伴い、2030年までに英国の電力の30%以上をクリーンで環境にやさしい洋上風力発電で供給することが決定している旨発表した。

この協定により、英国の歴史上初めて、化石燃料よりも再生可能エネルギーによる電力が上回り、2030年までに英国の電力の70%が低炭素源からの供給となり、また英国で400億ポンド以上のインフラ投資が行われると予想されている。これは、新産業戦略のもと締結された10番目のセクター協定になる。これは英国の再生可能エネルギー企業によって支えられるが、20年前にはまだ始まったばかりだった洋上風力発電業界に革命をもたらすものとなる。

本セクター協定による施策には次のようなものがある。

  • 国内の洋上風力発電プロジェクトにおける英国コンテンツの量に関するセクター目標を60%に引き上げる。2018年7月に政府が今後10年間のさらなるクリーン電力オークションに向けて5億5,700万ポンドの投資を約束したことは、ウィックからワイト島までの地域コミュニティに直接恩恵をもたらすことになる。
  • 北東部、東部アングリア、ハンバー、ソレントなどの地域で英国企業が確実に競争力を維持し、ロボット技術、先進製造技術、新素材、浮体式風力大型タービンのような分野で次世代の洋上風力イノベーションの国際的リーダーとなるべく、新たに2億5,000万ポンドの洋上風力発電パートナーシップを発足させる。
  • 欧州、日本、韓国、台湾、米国などの地域への世界輸出を2030年までに年間5倍の26億ポンドに拡大し、小規模のサプライチェーン企業による初めての輸出を支援する。
  • 2020年代にプロジェクトのコストとシステム全体のコストを削減する。そうすることで2030年に稼働するプロジェクトが助成金のない自由世界に移行する場合に、消費者のコスト負担を軽減する。
  • Crown Estate & Crown Estate Scotlandが、新しい洋上風力発電開発に向けて、2019年から海底の土地を新規に解放する。
  • セクター協定と並行して英国政府は、インドネシア、ベトナム、パキスタン、フィリピンなどの諸国がクリーンではない石炭火力をスキップして独自の洋上風力発電プロジェクトを開発するのを援助すべく、英国企業が技術支援プログラムを通じてグローバルに専門知識を共有し、新規市場を開拓できるように、400万ポンド以上を投資する。
  • 業界に参入する女性の数を倍増させて2030年までに現在の16%から少なくとも33%に増加させることに挑戦し、目標としては40%を目指す。
  • 英国以外で認知される”Offshore Energy Passport”を作成することにより、洋上風力従事者が自らのスキルや専門知識を他の洋上再生可能エネルギーや石油・ガス産業に移転できるようにする。これにより、洋上風力従事者がさまざまな洋上風力セクターでシームレスに作業できるようになる。
  • 英国中に熟練した多様な労働力を提供し、業界内での技能移転を促進するためのセクター全体のカリキュラムの開発に向けて教育機関と共同で取り組む。
  • 本年後半に本セクターにおける実習者数の拡大に向けた新しい目標の策定を急ぐ。

[DW編集局]