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- 国・地域名:
- 米国
- 元記事の言語:
- 英語
- 公開機関:
- 国防高等研究計画局(DARPA)
- 元記事公開日:
- 2019/03/12
- 抄訳記事公開日:
- 2019/05/23
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DARPAが生物にヒントを得た自ら継続的に学ぶ機械学習システムのアルゴリズム開発を支援
Progress on Lifelong Learning Machines Shows Potential for Bio-Inspired Algorithms
- 本文:
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2019年3月12日付けの国防高等研究計画局(DARPA)による標記記事の概要は以下のとおりである。
今日の機械学習システムには、新しい状況に遭遇したときに継続的に学習したり適応したりできないという制限がある。そのプログラムはトレーニングの後に修正されるものの、ひとたび実装されると、その後の新しい予期しない状況には反応することができなくなる。プログラミングの欠陥を補うために新しい情報を追加すると、既存のトレーニング情報が上書きされる。現在のテクノロジーでは、このためにシステムをオフラインにして、新しい情報を組み込んだデータセットでシステムを再トレーニングする必要がある。DARPAの生涯学習機械(L2M)プログラムは、この長くて困難なプロセスの克服に取り組んでいる。
2017年に初めて発表されたL2Mは、次世代AIシステムとそのコンポーネントの研究開発、さらには計算プロセスへの変換が可能な生物の学習メカニズムについて、1年以上かけて研究を進めている。L2Mは、期間とサイズが異なる助成金と契約によって、30の大規模な研究グループをサポートする。
南カルフォルニア大学(USC)ビタビ工学部の教授でL2Mに携わっているフランシスコ・ヴァレロ・クエヴァス(Francisco J. Valero-Cuevas)氏とそのチームは、歩行課題の独習が可能で、姿勢が崩れても自動的にバランスを回復させることもできる動物のような腱によって操作される、AI制御のロボットアーム開発に成功した。成果はNature Machine Intelligence誌の3月号に掲載されている。
本研究で開発されたロボットアームの背景には、生物にヒントを得たアルゴリズムがある。これにより、わずか5分の「構造化されていない遊び」の後に歩行課題を独習でき、またはロボットが周囲の環境と同様に自身の構造を学習することを可能にするランダムな動きを実行することができる。
ロボットの実践学習能力は、機械による生涯学習に向けた大きな進歩である。現在の機械学習アプローチは、すべての潜在的なシナリオに対してシステムを事前にプログラミングすることに依存しており、これは複雑で、労働集約的で、そして非効率的である。今回の成果により、AIシステムが関連する経験から学び、問題解決策を見つけて適応することが可能であることを示された。
[DW編集局+JSTワシントン事務所]