[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
全米科学・工学・医学アカデミー(NASEM)
元記事公開日:
2019/03/13
抄訳記事公開日:
2019/05/24

遺伝性ゲノム編集の臨床的使用に関する一時的禁止措置と国際ガバナンス枠組みの要請に関する声明

Statement on Call for Moratorium on and International Governance Framework for Clinical Uses of Heritable Genome Editing

本文:

2019年3月13日付の全米科学・工学・医学アカデミー(NASEM)による標記発表の概要は以下のとおりである。

Nature誌に掲載された解説では、遺伝性ヒトゲノム編集の臨床的使用に関する一時的禁止措置(モラトリアム)と国際的なガバナンスの枠組み構築が求められている。この要請は、治療において初期胚の遺伝子を編集し双子の誕生をもたらしたという中国の科学者による主張をフォローしたものである。この科学者の研究は、(米国アカデミーと共催で)香港で開催された第2回国際ヒトゲノム編集サミットで明らかにされたが、サミットの主催者ひいては科学界によって非難されている。

当アカデミーは上記解説で提起された懸念を共有する。実際、2015年と2018年の両方の国際サミットの組織委員会からの声明は、遺伝性ゲノム編集のいかなる臨床使用も現時点では無責任であることを明確にしている。2017年の全米アカデミーの報告書でも、遺伝性生殖細胞系列編集の臨床試験を含む臨床使用は、査読付き前臨床研究で潜在的なリスクと利益が明らかになるまでは進めてはならず、また合理的な代替案がない場合で医学的に切実な理由がある場合にのみ、最大限の透明性と厳格な管理の下に考慮されるべきものである、と結論付けている。

Nature誌の解説は、これらの複雑な科学的、倫理的、社会的問題に取り組む国際的に認知された枠組みが緊急に必要とされていることを強調している。その目的に向けて、全米アカデミーと英国王立協会は、ゲノム編集を計画する際に考慮しなければならない科学的・倫理的問題を詳述し、提案された臨床試験または応用を評価するための特定の基準を策定する国際委員会を主導する。世界中の他の多くの科学アカデミーの委員会への参加と支援を歓迎する。また、世界保健機関(WHO)によるヒトゲノム編集に関する専門家パネルの設立を歓迎する。

[DW編集局+JSTワシントン事務所]