[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
国防総省(DOD)
元記事公開日:
2019/03/14
抄訳記事公開日:
2019/05/27

DODの3組織による人工知能(AI)に関する取り組み

DOD’s Artificial Intelligence Initiatives Outlined Before Senate

本文:

2019年3月14日付の国防総省(DOD)による標記発表の概要は以下のとおりである。

3月12日に行われた上院軍事委員会による公聴会で、DODの国防高等研究計画局(DARPA)、国防イノベーションユニット(DIU)、共同人工知能センター(JAIC)の3組織の責任者が同省の人工知能(AI)に関する取り組み概要を説明した。

● DARPA

現在AI技術に対して行っている投資額は20億ドルである。DARPAのAIは、全く新しい機能を提供する一方で、敵に対峙するAI、高性能コンピューティング・サイクル、エネルギーの最小化への対処に重点を置いている。生成、文脈、説明モデルを用いて推論することができるシステムの構築、それが”AI Next”キャンペーンの起源である。AI関連のプログラムプログラムは80件以上あり、加えてすでに20件を超える新規プログラムを立ち上げている。現在、DARPA全体のプログラムの約3分の1が、AI技術を開発しているか、その技術を積極的に使用している。

● 国防イノベーションユニット(DIU)

中国は、2025年までにAIでの主要なブレークスルーを達成し、国内市場を600億ドルにまで拡大することを目指している。激しい勢力争いに直面して、DIUはDODの他の部門と協力して、AIを含むデュアルユース技術の優位性を維持している。

基盤技術として、DIUのAIポートフォリオは、AIが商業的に強みを発揮する3つの主要領域に取り組むプロジェクトを優先する。すなわち、①コンピュータ・ビジョン、つまりオブジェクトの認識とインフラの評価の自動化、②大規模データ集合の分析と予測、③戦略的推論、の3領域である。

DIUの取り組みにより、DODがスタートアップ企業の潜在的な顧客となることで、優れた民間技術を迅速・安価に調達できるようになるだけでなく、需要の高いAI人材のアイデアにアクセスできるようになる。

● 共同人工知能センター(JAIC)

JAICはDODのAI戦略の中心である。本センターは2018年6月に設置され、DOD全体のAI能力の提供を推進するための共通のビジョン、ミッション、重点目標を備えている。JAICでのプロジェクトは、2つのカテゴリーに分類される。国家ミッション・イニシアチブ(NMI)とコンポーネント・ミッション・イニシアチブ(CMI)である。NMIはJAICによって広範で共同・横断的なAIの課題として推進される。一方、CMIはコンポーネント主導であるが、JAICの一般的なツール、ライブラリ、ベスト・プラクティスなどを活用することができる。

JAICの最初の2つのNMIは、特殊作戦軍と連携した軍用UH-60ブラックホーク・ヘリコプター使用事例における予知保全、および山火事やハリケーンなどの自然事象での救援目的のためにJAICがAI能力を出動させる人道支援・災害救助である。同時に、国防戦略により根ざした2020年度の新たなNMI案に向けて早期構想段階に入っている。

JAICはまた、自殺予防、予防医学、情報運用などの多様な領域の支援にAIを適用することに関し、軍部とも協力している。

[DW編集局+JSTワシントン事務所]