[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
国防高等研究計画局(DARPA)
元記事公開日:
2019/03/21
抄訳記事公開日:
2019/05/31

DARPAがマシンの社会的スキルを実証するための基礎的なAI理論とシステムの開発を目指すプログラムを開始

Using AI to Build Better Human-Machine Teams

本文:

3月21日付けの国防高等研究計画局(DARPA)による標記記事の概要は以下のとおりである。

DARPAは、効果的なマン・マシン・コラボレーション(人と機械の協働)を創出させるのに必要な基本的なマシンの社会的スキルを実証するプログラムを開始する。人工知能(AI)が人間をパートナーとして表現・モデル化できないことは、効果的なマン・マシンのチーム化を妨げる唯一で最大の課題である。現在のAIエージェントはコマンドに応答して、その指示がトレーニングを受けた範囲内であれば、従うことができるが、意図、期待、感情、その他人間に固有の社会的知性の側面を理解することができない。この理解の欠如が、安全で効率的で生産的なマン・マシン・コラボレーションの取り組みを妨げている。

人間は、直感的に他人のメンタルモデルの近似を含む、周囲の世界のメンタルモデルを構築する。この能力は「心の理論」(Theory of Mind, ToM)と呼ばれている。人間はチームメイトの精神状態を観察された行動や文脈から推測するためにToMスキルを使い、その推論に基づいて将来の行動を予測することができる。これらのモデルは、各個人の既存の一連の経験、観察、信念に基づいて構築されている。ToMと共有されるメンタルモデルは、人間間の効果的なコラボレーションを可能にするために共同で働く人間の社会的知性の重要な要素である。

DARPAによるASIST(Artificial Social Intelligence for Successful Teams)プログラムは、基本的なマシンの社会的スキルを実証する基礎的なAI理論とシステムの開発を目指すもので、これらのスキルは効果的なマン・マシン・コラボレーションを促進するために必要なものである。環境と人間のパートナーを観察・理解し、適切なコンテクストを意識した行動を選択し、適切なタイミングでそれらの行動を実行することでチームに効果的に参加できる能力、そして、マシンのToMを実現できるAIエージェントの構築がASISTの目標である。

プログラムの第1段階では、ASISTはエージェントが人間の目標と状況認識をどの程度うまく推論できるかを調べるために単一のマン・マシン・インタラクションで実験を行い、それらの洞察を用いてチームメイトの行動を予測し、適切な行動を推奨できるようにすることを目指す。プログラムの進展に伴い、最大10人のメンバーからなるチームとAIエージェントを対話させることで複雑性を増加させ、エージェントのチームの認知モデル(一人の人間のそれだけではない)を理解する能力をテストし、その理解に基づき適切な状況依存の行動を選択できるようにする。

[DW編集局+JSTワシントン事務所]