[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
国防高等研究計画局(DARPA)
元記事公開日:
2019/03/25
抄訳記事公開日:
2019/06/03

DARPAがチップ設計にスケーラブルな防御機構を組込ませるためのプログラムを開始

DARPA Seeks to Make Scalable On-Chip Security Pervasive

本文:

3月25日付けの国防高等研究計画局(DARPA)による標記記事の概要は以下のとおりである。

過去10年間で、サイバーセキュリティの脅威は、ソフトウェア階層の高いレベルから徐々に低いレベルへと進んできており、基盤となるハードウェアに向かってきている。モノのインターネット(IoT)の台頭により、急速に増加する多数のアクセス可能なデバイスとそれらを可能にする多数の複雑なチップが設計されている。この急速な成長に伴い、米国の経済的・国家的敵対者は、商業、防衛用のアプリケーションに跨って複雑な機能を可能にするチップに注目している。ハードウェアサイバー攻撃は、数十億のデバイスに潜在的に影響を与える可能性があり脅威である。このような問題に対する認識は高まっているが、現在広く使用されているチップレベルでのセキュリティにおいて、汎用のツール、方法、解決策はない。これは主に、安全なチップ設計に関連する経済的障壁や技術的トレードオフによって生じている。

このため、DARPAは、安全なチップの開発の負担を軽減することを目指して、「セキュアシリコンの自動実装(AISS:Automatic Implementation of Secure Silicon)」プログラムを開発した。AISSは、設計者が経済性と安全性のトレードオフを検討し、設計の生産性を最大限に高めつつ、スケーラブルな防御メカニズムをチップ設計に組込むプロセスを自動化することを目的としている。本プログラムの目的は、デザインツールとIPエコシステム(ツールベンダー、チップ開発者、IPライセンサ、オープンソース・コミュニティを含む)を開発し、これにより、最小限の労力と専門知識で、チップ設計にセキュリティを安価に組み込むことが可能となり、最終的にスケーラブルなオンチップセキュリティを普及させることである。AISSは、DARPAの「エレクトロニクス再興イニシアティブ(ERI:Electronics Resurgence Initiative)」フェーズIIの一部である。ERIは5年間で15億ドル以上の投資を予定している。

AISSは、セキュリティメカニズムを設計目標に合わせて拡張できるような、自動化された新しいチップ設計フローの作成を目指している。本設計フローは、要求される設計とセキュリティ・メトリクスに最適なアーキテクチャ上の代替案を迅速に評価するための方法や、経済性とセキュリティのトレードオフを最適化するためのコストモデルを変更する方法を提供する。

AISSが目指すシステム(あるいはチップ上のシステム)は、アプリケーションやセキュリティの目的に合わせて自動的に生成、統合、最適化される。これらのシステムは2つのパーティションで構成される、すなわちアプリケーション固有のプロセッサパーティションとオンチップセキュリティ機能を実装するセキュリティパーティションの2つである。

[DW編集局+JSTワシントン事務所]