[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
米国科学振興協会(AAAS)
元記事公開日:
2019/03/25
抄訳記事公開日:
2019/06/03

2020年度ホワイトハウス予算における研究開発予算の概要

R&D in the FY 2020 White House Budget: An Overview

本文:

2019年3月25日付けの米国科学振興協会(AAAS)による標記記事の概要は以下のとおりである。

連邦政府の2020年度予算要求を分析した結果、非国防研究開発予算は、2019年の水準に比べ16.0%(127億ドル)減となる見込みである。一方、国防研究開発予算は増加する見込みで、その増加の多くは開発関係である。国防高等研究計画局(DARPA)のファンディングは3.8%の増加が見込まれるものの、国防研究費全体では20.4%減となる見込みである。以上を合算すると、2020年度の政府全体の基礎・応用研究予算は、14.4%(122億ドル)減になると推計される。

多くのファンディングが削減される中で、ホワイトハウスは以下の優先領域を提示している。

AI
ホワイトハウスは、2020年度に、非国防機関におけるAIの研究開発に8億5,000万ドルの投資を行うと報告しており、それらの資金は、エネルギー省(DOE)、国立衛生研究所(NIH)、国立標準技術研究所(NIST)および国立科学財団(NSF)に配分される。これに加え、国防総省では9億2,700万ドルのAI研究投資が計上され、全体として2019年2月に公表された米国AIイニシアチブを具体化する側面をもつ。

量子情報科学
既存の取り組みに追加する形で、量子科学の取り組みに対し4億3,000万ドルの予算を配分する。

月探査
トランプ政権は引き続きNASAによる月探査を重要視しており、その中心を担う月ゲートウェイ(Lunar Gateway)の予算を2019年度の4億5,000万ドルから2020年度は8億2,100万ドルに増加させる。

競争力のある農業研究およびインフラ
農務省(USDA)の他の研究プログラムは削減や再編の対象となるものの、農業食糧研究イニシアチブ(AFRI)は5億ドルの配分を受け、2019年度と比べ20.5%の増となる。

エクサスケールコンピューティング
DOEのエクサスケール関連の予算は8億900万ドルとなり(科学局が5億ドル、国家核安全保障局(NNSA)が3億900万ドル)、2019年度と比較して約2倍になる。

サイバーセキュリティ
全てが研究開発費というわけではないが、同分野では174億ドルの予算要求が行われ、その半分以上は国防総省(DOD)により行われる。

[DW編集局+JSTワシントン事務所]