[本文]

国・地域名:
ドイツ
元記事の言語:
ドイツ語
公開機関:
ドイツ連邦教育研究省(BMBF)
元記事公開日:
2019/04/15
抄訳記事公開日:
2019/06/17

BMBFが臓器培養のための「ラボからの代用臓器」公募を開始

Ersatzorgane aus dem Labor

本文:

連邦教育研究省(BMBF)はイノベーションアワード「ラボからの代用臓器」をスタートさせ、これに関して概略下記のような報道発表を行った。

ドイツでは現在約1万人の重篤患者が命を繋ぐ臓器移植を待っているが、長年にわたり、多くはむなしい結果に終わっている。この喫緊の問題の解決に、代用臓器培養が効果的に寄与する可能性がある。この分野における研究はある程度前進しているものの、決定的なブレークスルーには至っていない。世界中の研究グループが三次元の臓器に近いモデル、いわゆるオルガノイドの開発に取り組んでいる。結果は有望視されているが、ミニ臓器はその大きさや複合性において機能可能な臓器にまでは至っていない。

BMBFは全国の研究チームに対して、実験室で培養しているミニ臓器の能力を実演するよう要請している。そのためBMBFは4月に「ラボからの代用臓器」をスタートさせた。焦点となるのはドイツで最も頻繁に移植される5つの臓器、腎臓、肝臓、心臓、肺、膵臓である。上位3チームには次の開発ステップの助成金として、各々300万、200万、100万ユーロが与えられる。アワードの勝者は来年ベルリンにおける会議で発表される。それまで、参加するチームは、実験室での臓器モデルを最適化して、信憑性のあるデータパッケージを作成し、代用臓器の開発計画を策定する時間がある。

過去数年間において、患者独自の細胞の培養、そしてそれらの臓器に類似した構造への組み込みにおいて大きな進歩がなされた。これに伴い今日では既に、皮膚や軟骨が培養され、患者への移植が可能となっている。それを基盤として、新たなイノベーションアワードでは「ラボからの代用臓器」の生産のための技術を推進していく。ラボで培養された臓器はドナーによる臓器への依存度を軽減し、臓器提供を不必要なものとしてくれるかもしれない。また拒絶反応回避のための医薬品はしばしば苦痛を伴うものであるが、これも患者自身の細胞によって代用臓器が培養されるならば、患者の生活の質を決定的に向上させることになる。こうした「ラボからの代用臓器」への道がまだ遙か遠いといった状態であっても、その中間段階が患者の生活の質に著しく寄与することができる。例えば移植可能な腎臓オルガノイドは弱った腎臓の負担を軽減し、透析回数を減少させる可能性がある。

BMBFは合計3回のアワードを、飛躍的イノベーション庁のプログラムとして検証する。それによって得られた知見は同庁の設立計画に組み込まれる。画期的なアイデアから高度に革新的な製品、プロセス、サービス等が生まれるよう、飛躍的イノベーションを具体的に推進しハイテク分野の市場やビジネスモデルを開発する。

[DW編集局]