[本文]

国・地域名:
英国
元記事の言語:
英語
公開機関:
英国宇宙庁
元記事公開日:
2019/04/29
抄訳記事公開日:
2019/06/24

宇宙技術を大腸がんの早期発見や大気汚染への曝露への対処に応用

Space tech to fight bowel cancer and exposure to air pollution

本文:

2019年4月29日付英国宇宙庁の標記発表の概要は以下のとおり。

宇宙での活動から着想を得た新たな医療技術が、大腸がんのリアルタイム診断と大気汚染からの解放をもたらす。これらのプロジェクトは英国宇宙庁から総額500万ポンドの資金を受ける。

● ガンの早期診断リアルタイム医療システム(EARTH SCAN)

ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)のスピンアウト企業であるOdin Vision社によるシステムである。100万ポンドの資金を得て、Odin Vision社とUCL の研究者らが開発した革新的な人工知能システムを通じて、宇宙技術が大腸がんの早期発見・診断を向上させる可能性がある。このシステムは大腸内視鏡検査のライブ映像を解析して、ポリープを識別し特徴を把握することで、早期治療や救命につながる。

数百万マイルも離れた宇宙船を制御するには、信頼性の高い高速データ接続が必要である。同様に、がん診断に技術を利用する医師は、速度だけでなくデータの信頼性に依存している。

EARTH SCAN プロジェクトでは、特注のデータ圧縮ソフトウェアと組み合わせた安全で高速な衛星通信を使用する。これは通常、宇宙ミッションの運用に使用されるものである。このプロジェクトでは、患者のがんを特定する際に医師をサポートするクラウドベースのAIシステムを作成する。

この宇宙技術の利用を通じて、本システムは地球上のどこででも信頼性をもって展開することができ、患者に一貫した高レベルの医療を提供することができる。

● 宇宙技術による個別運動プラットフォーム(P-STEP)

運動は健康のための奇跡的な薬だと認識されているが、長期的に喘息のような健康問題に悩まされている患者にとっての適切な運動の判断は、相矛盾する助言や大気汚染への曝露などあって難しい問題である。

レスター大学は、200万ポンドのファンディングを受けて、モバイル・アプリケーションを新規開発する。これは地球観測衛星からのデータを利用して、町や都市の汚染ホットスポットをマッピングするものである。これをAIと組み合わせて、喘息のように汚染によって悪化する可能性のある患者の全ての病状を考慮に入れて、個別の運動経路を提示する。汚染警報は10メートル以内の区域レベルで生成される。

[DW編集局]