[本文]

国・地域名:
英国
元記事の言語:
英語
公開機関:
ビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)
元記事公開日:
2019/05/07
抄訳記事公開日:
2019/07/02

明日の研究人材の確保に関するスキッドモア科学担当大臣の講演

Reaching 2.4%: Securing the research talent of tomorrow

本文:

2019年5月7日付ビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)の発表では、クリス・スキッドモア(Chris Skidmore)科学担当大臣の標記に関する講演内容を伝えている。概要は以下のとおり。

明日の画期的な研究に携わる人材、世界をリードするイノベーションを開発する人材、世界の最も困難な課題のいくつかの解決に当たる人材。適材適所の人材配置がなければ、期待した成果は得られない。英国の研究力強化にとって、強力な人材供給源の確保は不可欠である。

実際問題として、2027年までに研究開発支出を現在の投資水準の2倍以上に増やす必要があるとすれば、同じ期間に研究開発に従事する人員の数も大幅に(おそらく50%)増やす必要がある。つまり、全大学、全企業、産業界全体で研究開発に従事する研究者を少なくともさらに26万人見つける必要がある。これは大問題である。

● 英国内で人材を育てる

現在のところ、英国は世界3番目の博士号生産大国である。しかしその大部分は世界中から人材を引き寄せて教育する英国の能力に依存している。英国自身の学生を博士レベルまで教育するとなると、やるべきことがもっとある。大学生に大学院レベルまで勉学を続けるよう奨励すること、そして研究職に巣食う男女の数の不均衡や人種格差に対処すること、の2つである。もちろんこれらの領域で進歩を続けているが、まだ十分ではない。

政府として、より多くの国民が高等教育や研究を続けるよう奨励する経済的インセンティブについても真剣に考えている。2016年には、学生が自らの大学院進学を支援できるように、修士課程ローンを導入したが、これらはすでに大学院での勉学継続を選択をする学生数に目に見える効果をもたらしている。さらに2018年8月からは、博士課程に在学する院生にもローンが拡張された。

● 国際的人材の誘致

政府は英国を国際的人材の世界的目的地にするべく真剣に取り組んでいる。今春初めに国際教育戦略で明確な目標を設定したのは、そのためである。今後10年間に英国の大学で学ぶ留学生の数を60万人に増やすことを目指している。

これら学生の多くは、英国でしかも大学院レベルで修士号又は博士号の取得を目指す。また博士課程修了後、自動的に1年間の滞在延長期間を導入する。これにより博士号を取得した留学生には、卒業後に適切な研究ポストを見つけるのに必要な猶予期間が与えられ、英国の大学でポスドク又はキャリア初期の研究者として研究を継続することが可能になる。あるいはその能力を産業界で生かして、アイデアやイノベーションを市場にもたらすことも可能である。

また学部以上のレベルに在学する留学生には、そのコース修了の3か月前にビザの申請が可能になる。学位取得後にその能力を必要とする仕事に就くことを可能にするものである。

● PhD、その他のプログラムの支援

2017年に、PhDプログラムやフェローシップ・プログラムの数を増やすべく、4年間で3億ポンド以上のファンディングを行う旨発表した。ラザフォード基金に1億ポンド以上を出資して、キャリア初期およびシニアの研究者向けに1,000件のフェローシップや職場斡旋を提供している。

2018年6月には、科学・イノベーションにおける成長と最高の人材を引き付けるべく、英国の人材と能力に13億ポンドの投資を発表した。権威ある「国立アカデミー・フェローシップ」向けには3億5,000万ポンドである。また世界中の最優秀研究者に開かれたUKRIの新規主要プログラム「未来のリーダー・フェローシップ」への9億ポンドが含まれる。今回この「未来のリーダー・フェローシップ」のまさに最初の41件が発表される。

またこの度新たにスティーブ・ホーキング・フェローシップの初めての公募を発表する。UKRIはホーキング家の協力を得て、今後5年間で理論物理学のポスドク科学者最大50名を支援する。

AIの分野では最近、一連の施策を発表した。産業界が資金支援する修士課程、16か所のAIに特化した博士教育センターへの新規1,000名の博士課程学生の投入、新たなチューリングAIフェローシップなどである。

[DW編集局]