[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
全米科学・工学・医学アカデミー(NASEM)
元記事公開日:
2019/05/22
抄訳記事公開日:
2019/07/11

ヒトゲノム編集の科学的、医学的、倫理的枠組み構築に向けた国際委員会の招集

New International Commission Launched on Clinical Use of Heritable Human Genome Editing

本文:

2019年5月22日付の全米科学・工学・医学アカデミー(NASEM)による標記報道発表の概要は以下のとおりである。

全米医学アカデミー(NAM)、全米科学アカデミー(NAS)および英国王立協会は、世界中の科学・医学アカデミーの参加を得て、国際委員会を招集した。この委員会の目的は、科学者、臨床医、および規制当局がヒト生殖細胞系ゲノム編集の臨床応用への可能性を評価する際に考慮すべき枠組みを構築することにある。

同委員会は、ヒトゲノム編集に関する国際的な科学コミュニティの最新の活動であり、2018年11月に香港で開催されたヒトゲノム編集に関する第2回国際サミットに続くものである。同サミットにおいて、中国の研究者が胚ゲノム編集した双子の誕生に関する研究結果を発表して、この話題が世界的な注目の的となり、世界中の科学界から長年にわたる科学的原則と倫理的規範が侵されたことに対する激しい非難が巻き起こった。

それを受けて、遺伝性ヒト生殖細胞系ゲノム編集に関する科学的、医学的、また倫理的枠組みの構築が喫緊の課題となっていた。

NAM、NASと英国王立協会は、10か国の代表を含む同委員会の事務局を務める。オックスフォード大学における遺伝学の教授であるケイ・デイビーズ(Kay Davies)氏と、ロックフェラー大学学長のリチャード・リフトン(Richard Lifton)氏が委員会の共同議長を務める。

委員会は、以下を実施する。

  • 生殖細胞系ゲノム編集の臨床適用に関して評価すべき科学的、社会的、倫理的問題の特定
  • オフターゲット効果、モザイク現象、あらゆる長期的な副作用の可能性に関する評価のためのプロトコルと前臨床検証の特定
  • 子供や次世代に対する生殖細胞系列編集の有益性と有害性のバランスの評価方法についての議論
  • 患者の同意取得や審査委員会の倫理的な是認、規制当局の要求を満たすための適切なプロトコルのデザイン
  • ゲノム編集で誕生した子供の長期モニタリングのための可能な体制の評価
  • 監視体制の一部を形成する研究・臨床特性についての概説

委員会は今後、パブリックミーティングや国際ワークショップを開催し、一般からの意見を募集する。委員会の最終報告書は、2020年春に出される予定である。

[DW編集局+JSTワシントン事務所]