[本文]
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- 国・地域名:
- フランス
- 元記事の言語:
- フランス語
- 公開機関:
- 議会科学技術評価局(OPECST)
- 元記事公開日:
- 2019/05/16
- 抄訳記事公開日:
- 2019/07/16
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医薬品、化学製品、食品等の衛生・環境リスクの評価に関するOPECSTの報告書
Évaluation des risques sanitaires et environnementaux par les agencies
- 本文:
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2019年5月16日付議会科学技術評価局(OPECST)の標記報告書の概要は以下のとおり。
20年ほど前から、衛生・環境リスクの評価に関する専門機関が、フランスおよびEUレベルで設立されてきた。医薬品・医療製品のほか、化学製品や食品等の取り扱いが難しい分野で、専門家が政策決定に資する科学的見解を提供する。
このような機関はどのように機能しているか。提供される専門情報は質的に信頼できるのか。専門家とはどんな人たちか。2017年のグリホサート認可延長に対する抗議を契機として、このような疑問が呈された。OPECSTは、これらの機関の独立性と客観性について、国民議会の経済問題委員会および欧州問題委員会から諮問を受けた。
この調査は、欧州レベルでは欧州食品安全機関(EFSA)および欧州化学物質庁(ECHA)に、フランス国内では国立食品環境労働衛生安全庁(ANSES)に対して集中的に行った。これらの機関は市場に出回る前(原則としてデータもなく市場もない)の化学製品のリスクに関する知見を求めるべく、ますます厳しくなる規制(REACH規制、農薬規制、殺生物剤規制等)による義務化された評価を実施している。
各機関に提出される文書に記載される一連の毒物学または環境毒物学の試験を実施し、その費用を負担するのは製造業者である。科学のグローバル化の文脈で、これらの試験は特にOECDの傘下で確立された国際基準に対応している。したがって各機関の評価方法は、(調査結果を公表する)独立の有識専門家が主導する集団的専門知識の要件に依存して収斂する傾向にある。
リスク評価の枠組は静的ではなく、絶えず変化している。実験動物に対して実施される生体内試験は、試験管内さらにはコンピュータを用いた試験で補完、場合によっては代替することもでき、規制要件は(特に科学および分析技術の進歩に適応するべく)定期的に更新される。
リスク評価は、リスクの評価と管理の分離原則にしたがって、評価報告を作成することによって具体化される。政府機関はその報告書に従いリスクの管理措置(許可、禁止、制限)を実施する。
● リスク評価の難しさと盲点
- 有能で独立した専門家の必要性:議論の中心に「利益相反」がある。
- 透明性があり多元的な専門知識に基づく必要性。
- 業界のデータに大きく依存する専門知識。
- 知識不足に直面する専門知識。
- リスク評価の規則に関する問題。
● 中心的な課題は、専門家の仕事の信頼性の向上
● 提言
次のようなテーマについて、全部で13項目の提言をしている。
- 各機関が規制対象とするリスク評価能力を強化する。
- 評価作業の透明性を向上させる。
- 各機関のリスクに関する専門能力の役割を強化する。
- リスク評価を利用しやすく理解しやすいものにする。
[DW編集局+JSTパリ事務所]